１９ ページ20
「Aは誰にも迷惑かけてないだろ」
「迷惑じゃないよ」
私が、でも、と口を開こうとするよりも先に、もう一度はっきりと否定された。
でも…だって、悠馬くんは嫌ではないの？変に詮索されたり…そのことをはっきりと認識されるせいで、自分に向けられる視線の色が変わってしまうのは。怖くはない？
「なんにも悪いことしてないんだから、申し訳なく思うこともないじゃん。普通に学生生活楽しんで悪いことなんかない。その権利は誰にも否定されてないし、させないよ。絶対に。
…Aは優しいから、俺のこといっぱい、そこまで考えるかーってとこまで考えてくれてるんだろうけどさ。結構、大丈夫だよ。Aがしたいことがちゃんとできてたら…それで、Aと一緒にいられたら、俺はそれが一番嬉しい。俺だってやりたいことで出来ることはするしな！」
ほんとうに、悠馬くんはすごい。とっても優しくて、強い人だな。
なんでもないことみたいに笑って、大丈夫だって言い切ることができる。そうしていつでも、私を、普通にしてくれる。
「…あ、それに良いこともあるんだぞ？実は。俺に彼女がいるのが嘘なんかじゃないぞってことを周りのやつらにわかってもらえる、とか？」
「なに、それ…？信じてもらえないの？」
ひどいだろ？とどこか楽しそうに笑いながら頷いて続ける。
やっかみも混じってるのかもしれないけれど、彼の周囲の人たちに言わせると『他校に彼女がいるなんて信じない。見たことがないから、それはまだお前のイマジナリー彼女でしかない』のだそう。イマジナリー彼女って、なぁに…？
類は友を呼ぶ、というのが本当なら、彼の周りに集まる人たちは、いつでも彼らしく振る舞う彼を、普通の、どこにでもいる高校生として…過去の経験なんて気にしないで、受け入れてくれるのかな。すぐには無理でも、いつか。…そう、だったらいいな。
「悠馬くん」
「ん、どうした？まだ何か気になることあるか？」
「違うの…。ありがとう」
「なにがだよ。俺、当たり前のことしか言ってないぞー？」
「…ふふ。それが嬉しいから、お礼を言っているんだよ」
「でも、もしも何か嫌なことがあったら、遠慮しないできちんと教えて欲しい」
「もちろん…っていうか、それ、こっちのセリフだぞ。Aは全然相談しないからなぁ…。いつも言ってるけどさ、迷惑とか思ってないし、俺にもちゃんと」
「心配、させて欲しい、でしょう？わかってる。……気を付ける」
「今の間はなんだー？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました！続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (
レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに！ついにです！続編が公開されました！！nanoさんお疲れ様です〜！ (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nano* | 作成日時：2022年7月10日 21時
