【暗殺教室】ばびっとらびっとしーくえる

１８ ページ19

「擬態は…まあ、無理だろうな」

校門付近で待っていると私自身が落ち着かないというのももちろんあるけれど。私となんらかの関わりがあると思われるのは、彼にとってあまり良いことではないかもしれない。私がただの他校生ではなくて椚ヶ丘の生徒だから、余計にそう思うのかも。

自己紹介の時に椚ヶ丘中学校出身だと言わざるを得なくなって数日間は変に注目されてしまって大変だったという話を聞いた。
けれどそれも時間が過ぎて、彼と関わるうちに忘れて気にならなくなっていくものなのではないかと思う。そんなこと気にしている暇なんてないくらい彼は本当に優しくて、良い人だから。
でも、私との関係が見えることで周囲の人たちはどうしても、彼の中学生時代のことを意識してしまうのではない、かな。
もしかしたら考えすぎなのかもしれないけれど…私のせいで、彼が心地よく過ごすことができるはずの場所がそうではなくなってしまうのは、そうなる可能性が少しでもあるのは、絶対に嫌だ。
今後、彼との関係が続く中でこういうことが増えてくるのなら、どうするべきなのか、彼の意見も聞いて、きちんと話しておきたい。

家までの道のりを歩きながら校門前の様子を話してみたら、まずは苦笑いが返ってきた。
私も擬態は無理があるなとは思ったよ。ただ、あまりに落ち着かなかったからほんのすこし逃避的な思考をしてしまったというか…。校門の前という人通りの多い場所で、更に他校の制服なんて異質なものが見つからないというのはまず不可能だと、私も思う。


「でも、そっか。やっぱ目立っちゃうよな」

連絡を取る手段があったら、どれくらいの時間に到着する予定か、とか。そもそも、その日の放課後はどうするか、とか。その都度連絡、相談することができるのだろうけれど。
携帯電話を持っていないと、こういう時にほんの少し不便だな。

「ん、と…目立つのが嫌というよりはね。私があそこに行くことで悠馬くんに迷惑がかかるのが、一番嫌、かな」

今日は先日話をして、お互いに食材の買い出しに行く…目的地が同じだからということで、放課後、一緒に行動することになった(4人分の食材を抱える彼の方が圧倒的に荷物量が多いはずなのに、私の荷物まで引き受けようとするのだから、困る)。
私の方が授業が少し早く終わること、いつも迎えに来てもらってばかりなのは申し訳ないということ、目的のお店は彼の通う学校の方が近いことなど。色々な要因が合わさって今日の状況が生まれた。

１９→←１７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す