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授業を受けて、休憩時間には本を開く。通常通りの授業が始まって少し経った。
お昼休みを過ごす場所は、中学の頃と同じ。屋上に繋がる扉の近く。この場所は人が来ないから誰かの視線を感じることもないし、開くことのない扉の窓からは日が差し込むから適度に明るい。賑わいからは少し離れられる。静かだし落ち着いて過ごすことができて、好き。
屋上は解放されていないし、ほとんどの人が教室か中庭か学食でお昼ごはんを食べるから、この場所には人が寄り付かない。この場所の静かさは変わっていなくて、助かった。
E組の先生たち以外の授業を受けるのは、久々。理事長先生が変わって、E組に関する認識もきっとかなり変わって、制度自体がなくなって。変わったことはたくさんあるけれど…。
『良い』生徒には優しく、『悪い』生徒には冷たい先生たち。先生たちの良し悪しの判断は全て、1枚の紙とそこにつけられた数字で決まる。できない人、ついて来られていない人は容赦なく篩い落とされる…篩にかけるための作業のような授業も、変わっていない。
高等学校では寧ろ、その風潮がより強くなったように感じる。
私が…所謂普通とはほんの少し違うのかもしれないけれど、絶対に誰も置いていかれることのない環境にすっかり慣れたせいなのか。義務教育が修了したことで先生たちも中学の先生たちよりも一層、そういう方向に変化するのか。どちらか、もしくはその両方なのかは、わからないけれど。
先生からしたら、成績がいちばん大切、なのかな。もちろん、私も大切ではないとは言わないし、思っていないけれど。
この椚ヶ丘学園が勉学を中心に様々な分野でトップクラスを目指すような学校で…私立の学校だから?生徒の成績や、その後の進路は、学校の実績にもなるのだろうし。もしかすると、受け持った先生の実績として評価されることもあるのかな。
数字や、能力だけを見て、評価を下されて、場合によっては扱いにまで差がつけられていくのはなんだか虚しいし…先生がそれでいいのかな、と。ころせんせーみたいな先生と出会った今だから、きっと余計にそんな風に思ってしまう。
そういう環境で育つ生徒も…先生や、周りの人たちを見てその影響を受けている部分が少なからずあるのかな。
「…Aちゃんって、いつも昼どこに逃げてんの?」
お昼休みが終わる直前に戻って来た赤羽くんに声を掛けられた。『逃げる』というのは、事実かもしれないけれどなんだか少し人聞きが悪いと思う。
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nano*(プロフ) - チキン神様さん» チキン神様さま、ありがとうございます。お待たせいたしました!続編も楽しんでいただけるように頑張りますね。またよろしくお願いいたします (2022年7月11日 10時) (レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
チキン神様(プロフ) - ついに!ついにです!続編が公開されました!!nanoさんお疲れ様です〜! (2022年7月10日 21時) (レス) @page2 id: a44e6bddf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nano* | 作成日時:2022年7月10日 21時