きっと、この先もずっと。−５−【川村壱馬】

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『私そんなに厳しい女に見えてるのかなぁ』







壱馬「ふふっ、ちゃうちゃう。あいつシンプルにAのこと好きやから、嫌われたくないだけやと思うで」







通話しながらゲームをしていたらAが遊びに来て、そのタイミングでAのことを紹介した。







メンバーとマネージャー以外では母親にしか明かしていないAの存在。







紹介するか迷ったけれど、軽率に言いふらすようなやつじゃないって分かっているから、Aに相談した後に伝えさせてもらった。







『今度は私も一緒に出来るゲームお願いします、って伝えておいて？』







壱馬「おっ！Aもついにゲームデビュー？」







『ふふっ。見てたら楽しそうだから、ちょっとやってみたいかも』







今までゲームをあまり触ってきてなかったらしく、俺がやっているのも見てるだけで楽しいっていつも言ってくれていた。







壱馬「そう思ってくれるの、嬉しい」







自分の好きなものに興味を示してもらえるだけで嬉しいことだし、もしも一緒にできるようになったら、もっと嬉しいだろうな。







『適性がないって判断したら、すぐやめますね』







壱馬「分かった。……ふふ、Aセンス無さそう〜」







『ちょっと！なんてこと言うんですか』







俺の太ももをぽんと叩いて振り返ったA。







壱馬「ふふっ、ん？」







ちゅ、と軽く唇を重ねると、途端に大人しくなって、もじもじして。







『そうやって、とぼけて……』







なんて言いながらもキスを拒否する素振りはなくて、再び唇を触れ合わせるだけのキスをした。







『……今日、キスしてもらえないかと思ってました』







壱馬「なんで？」







『だって……。今日の私は、それ以上のこと……できないから……』







こちらには顔を向けず、俺の腕の中で少し小さくなってそう言う。







そんなこと気にしてたのか。まぁ、確かにいつもみたいに気分が高まってしまってもその先はできないけど。







壱馬「出来ないから、キスいっぱいするんじゃだめ？」







『え？』







壱馬「触れてたいやん」







Aの肩元に頭を乗せて、その肩を力強く抱き締め直す。







壱馬「キスもダメやったら、こうやって抱き締めるだけでもいいし」







腕の中にAを感じるだけで俺は幸せだと思える。







普通が普通じゃない俺だからこそ、そのありがたみを感じる。

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