きっと、この先もずっと。−５−【川村壱馬】

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壱馬side









分からないなりに、調べて、丁寧に調理をした。







俺の包丁の扱いを見て、終始落ち着かない様子でいたA。







痛みや体の不調を忘れてしまうくらい、俺の手付きを注視してしまったらしい。







それはそれで結果オーライ。







って思ったのは、心配させたAに申し訳なくなったから自分の中だけで思っておいた。







これはこう？これは、こうしていいねんな？







Aをゆっくり休ませてあげたくて自ら手を挙げた食事作りだったけど、結局心配で近くにいてくれたAに聞きまくりで全然休ませてあげられなかった。







だけど。







『美味しいです』







出来上がった不格好なオムライスを頬張って、笑みを浮かべながらそう言ってくれた彼女を見てたら、幸せな気持ちでいっぱいになった。







あー、Aはいつも、これを感じながら仕事を続けているんだな、と毎日これを繰り返してそして仕事にしている彼女をより尊敬した。







『ありがとう、壱馬くん』







壱馬「こちらこそ、いつも本当にありがとうございます」







『ふふっ、壱馬くんの敬語久しぶりに聞きました』







来たときの不安定な暗い表情はもうなくなって、いつものAだ。







体調落ち着いてるから洗い物はやらせて、といつもと役割が逆になりながら片付けを済ませて。







ソファーを背にAを後ろから抱き締めながら、なんとなくテレビを付ける。







『正直、今ゲームしたい？』







壱馬「んー、したくないと言えば嘘になる。でも、Aを抱きしめることも、したい」







『ふふっ、わがままボーイだ』







Aとくっついたままゲームができたらいいのに、と思ったことは何度もある。







『そういえば、本当にありとくん怒ってないですか？』







壱馬「うん。さっきメッセージ届いててさ、」







テーブルに置いてあったスマホを取って、Aを抱き締めたままメッセージアプリを開く。







壱馬「見て、全然怒ってへんやろ？」







そのままAにトーク画面を見せると、ふふっと笑い始めた。







《なんで大事な休み俺に費やそうとしてんねん！》
《Aちゃん怒ってない？》
《Aちゃんに嫌われたらどーしよ》
《耐えかねる》







怒るどころか、Aから嫌われることを恐れている文面。

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