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「うぐっ……！」
バチバチと火花が散るような音。脇腹から全身に走る痛み。初めて味わう謎の脱力感。一瞬遠のく意識。
今、いったい、何が。
上手く力を入れられなくて身体が傾いたけど、倒れることはなかった。そういえば腰あたりを支えられているような気がする。誰だ。何が起きたんだ。どうしてこんなことを。最初から私を狙ってたのか。頭の中で警鐘が鳴り響く。冷や汗が背中を伝う。どうしよう、どうしよう。
「おい、こっちは終わったぞ。……問題ない。反応しねぇし気絶してるだろ」
電話のコール音と、頭上からはっきりと聞こえた男の声に少し安堵した。
大丈夫、意識はある。落ち着け、落ち着いて考えるんだ。この人が誰なのかは今はどうでもいい。逃げることだけを、最悪の事態を逃れることだけを考えろ。
静かに、バレないように息を吐いて脳を回転させる。この人以外の声は聞こえない、でも電話で状況を伝えていたから少なくとも二人はいる。どこか別の場所で待機してるのだろうか。その相手がここに来るのか、運ばれるのか、どちらにせよその前に逃げなければいけない。家は鍵を開ける手間があるからその隙を狙われたら終わりだ。人通りのある道まで走れば、せめてその近くまで行けば逃げきれなくても発見されるのは早いかな。
思考を巡らせながら手の指先を動かしてみる。よし、自分の意思で動かすことができた。これなら。
「分かった。じゃあそっちに連れて行くぞ」
猶予は、ない。
右足を大きく振り上げかかとで思い切り男の足を踏みつける。痛みか、はたまた驚きか腕の力が緩み解放された。地面を蹴り違和感が残る体をひたすら動かす。走れ、逃げろ、足を止めるな。
「くそっ、逃げられた！ お前もこっちに来て追いかけろ！」
「っ、こわ」
後ろから追いかけてくる足音と怒声に怯みそうになるけど負けじと走り続ける。
この先は確か十字路。その道をまっすぐ行けばわりと大きい道に出るはずだから、そこまで逃げ切ることができれば勝ちだ。勝ち負けの問題じゃないけど。
走って、走って、ようやく見えた十字路に涙さえ出そうになる。奥にうっすら人影も見えて、息を呑むと左へと曲がり更に暗い道に入った。
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緋焔(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます！すきと言っていただけてとても嬉しいです。 (10月8日 18時) (
レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
緋焔(プロフ) - 積田姉貴さん» コメント嬉しい限りでございます。ありがとうございます！更新頻度は遅いですが少しずつ進めていきますので、お時間ある時にまた読んでいただけたら幸いです。 (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
緋焔(プロフ) - たろ。さん» 今更の返信、大変申し訳ございません。コメントありがとうございます！ 赤井さんをかっこよく表現できているようで良かったです！ (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すきです (10月8日 13時) (レス) @page26 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
積田姉貴(プロフ) - こちら更新はもうされないのでしょうか、？とても面白く読み進めていたので少し悲しい気持ちです🥲ぜひ気が向いたときにでも更新待ってます🥺 (9月19日 22時) (レス) @page24 id: 3fa67e14b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Scarlet10 | 作成日時：2021年5月14日 21時
