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買い物を終えた昴さんは、まるで鋭い視線から守ってくれるかのように私の後ろを歩き、車のドアを開けてくれた。前はむず痒かったこの行動も、今はすごくありがたい。

 そして昴さんも車に乗り込み、車が動き出すと私はようやく一安心できた。思わず安堵の息を吐くと、それに気づいたのか昴さんが話し出す。



「……流石にもうつけてきていませんね」

「あの、声をかけてくださってありがとうございました」

「声をかけたのは偶然ですよ。まあAさんに向けられた異様な視線にはすぐ気が付きましたが。……何があったのか、お聞きしてもいいですか?」



 やっぱり聞かれるよなぁ、と思いながらも包み隠さず現状を伝える。

 とある現場の第一発見者になったこと、事情聴取されている時に同じ視線を感じたこと、その視線は五日前から感じていること、視線の正体はおそらく犯人であること。

 それらを全部伝え終えると、「誰かに相談はされましたか?」と聞かれ横に首を振る。見えてるかどうかは分からないけど。



「誰にも相談していません。実害が出ているわけではないですし、私に向けられた視線かどうかも……いや、私に向けられた視線だとは思うんですけど、犯人かもしれないというのはただの私の考えに過ぎないですから」

「そうですか……。今日は一旦そのことを忘れて、少しでも心を休めてくださいね」



 昴さんの優しさに、また私は驚いてしまった。


 五日間ずっと殺気を含んだ視線を感じて正直生きた心地がしなかったし、家の中にいても一人でいるからか心細さと恐怖が勝ってしまい気は休まらなかった。

 それも踏まえて、本を読まないかと誘ってくれたのかな。よく考えればつけられてるなら送ってくれるだけでいいよね。昴さんの気遣いすごい。


 そんなことを考えていたら工藤邸に着いたようで、少しのブレーキ音と共に車の動きが止まった。

夜道→←*



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緋焔(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!すきと言っていただけてとても嬉しいです。 (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
緋焔(プロフ) - 積田姉貴さん» コメント嬉しい限りでございます。ありがとうございます!更新頻度は遅いですが少しずつ進めていきますので、お時間ある時にまた読んでいただけたら幸いです。 (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
緋焔(プロフ) - たろ。さん» 今更の返信、大変申し訳ございません。コメントありがとうございます! 赤井さんをかっこよく表現できているようで良かったです! (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すきです (10月8日 13時) (レス) @page26 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
積田姉貴(プロフ) - こちら更新はもうされないのでしょうか、?とても面白く読み進めていたので少し悲しい気持ちです🥲ぜひ気が向いたときにでも更新待ってます🥺 (9月19日 22時) (レス) @page24 id: 3fa67e14b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Scarlet10 | 作成日時:2021年5月14日 21時

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