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あれから他にも質問に答えて、一通り終わったのか目暮警部は一度席を外した。どこか張り詰めていた空気がなくなり、大きく息を吐く。

 淡々と答えていたつもりだけど、やっぱり緊張してたのかな。

 ついまた息を吐くと、目の前にペットボトルのお茶が置かれた。少し驚き顔を上げると、高木刑事が眉を下げて私を見ている。



「お疲れ様です、伊桜さん。長いことすみません、お茶ですがよかったら飲んでください」

「すみません、ありがとうございます」



 一瞬断ろうか悩んだけど、喉は乾いていたから厚意に甘えることにした。そうして蓋を開けて喉を潤しながら、さっきまでの事情聴取を振り返る。


 発見する前に怒鳴り声と不規則な足音が聞こえたことを伝えることができたし、私の行動も嘘偽りなく伝えた。とりあえず私が言いたかったことは全部言えたはず。

 そういえば、今頃誰かポアロにアリバイ確認に行ってるよね、きっと。ああ、ポアロのみんなに迷惑をかけちゃったな。

 そう考え心の中でみんなに謝っていたら、ドアが開いて目暮警部が入ってきた。



「伊桜君、待たせて悪かったね。今日はわざわざありがとう。今回はこれで終わりだが、明日以降も話を聞きに行くかもしれん。その時はまた協力してもらえると嬉しい」

「私は大丈夫です。今日はありがとうございました」

「では玄関まで送ります」



 そう声をかけてくれた佐藤刑事にお礼の言葉を言って、目暮警部に改めて一礼すると私は談話室を後にした。そして高木刑事も一緒に、雑談を交えて玄関まで歩いて行く。

 二人とも私のことを気遣って話をしてくれているのがすごく伝わってきて、申し訳ない気持ちと優しさに触れたことでうっかり涙腺が緩みそうになった。危ない危ない。今ここで泣こうものならもっと二人に気を遣わせてしまうから気を引き締めないと。

 拳に力を込めていたら玄関に着いたようで、私はハッとなり警察署を出る手前で二人に向き直る。



「すみません、わざわざありがとうございました」

「とんでもないです。こちらこそ捜査への協力ありがとうございました」

「お気をつけて帰ってくださいね」



 二人にお辞儀をして今度こそ警察署を出ると、少し考える。このまま家に帰るか、気晴らしに少し散歩をするか。


 そして十秒近く悩んだ結果今日はもう家に帰ろうかと歩き出した時、不意にポケットに入れているスマホが震えた。

*→←事情聴取



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緋焔(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!すきと言っていただけてとても嬉しいです。 (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
緋焔(プロフ) - 積田姉貴さん» コメント嬉しい限りでございます。ありがとうございます!更新頻度は遅いですが少しずつ進めていきますので、お時間ある時にまた読んでいただけたら幸いです。 (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
緋焔(プロフ) - たろ。さん» 今更の返信、大変申し訳ございません。コメントありがとうございます! 赤井さんをかっこよく表現できているようで良かったです! (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すきです (10月8日 13時) (レス) @page26 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
積田姉貴(プロフ) - こちら更新はもうされないのでしょうか、?とても面白く読み進めていたので少し悲しい気持ちです🥲ぜひ気が向いたときにでも更新待ってます🥺 (9月19日 22時) (レス) @page24 id: 3fa67e14b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Scarlet10 | 作成日時:2021年5月14日 21時

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