検索窓
今日:1 hit、昨日:32 hit、合計:223,049 hit

ページ16

「今日はありがとうございました! 何度も言っちゃってますが、明日からよろしくお願いします!」

「私の方こそよろしくね、Aちゃん!」

「暗くなってしまったので、お気をつけてくださいね。本当は僕が送っていきたいのですが、この後少し用事があるので、残念です」

「大丈夫ですよ。ちゃんと大通りを歩いて行きますし、暗いと言ってもまだ七時前ですから。それに安室さんに送ってもらってるのをファンに見られたら炎上どころじゃないですよ」



 バイトの内容を教えてもらっている時に梓さんから聞いた、安室さんにまつわる炎上事件を思い出してそう返す。


 朝も働きたい事情を説明して、私以外のお客さんがいなくなってから私はバイト内容を教えてもらっていた。他の飲食店と大きな違いはないため、多分戦力にはなれる、と思いたい。

 そしていい時間だったからそのまま夕飯も食べて、冒頭に至る。というか今更だけど残念ですってなんですか。あまり思わせぶりなことを言うのはよくないと思うんだけど。


 相も変わらず安室透節全開の安室さんに心の中でツッコミを入れて、私はポアロを後にした。直後に後ろから安室さんの声がしたのはどうしてだろうか。



「あの、Aさん」

「どうかしましたか?」

「……その、あまり話したくないことだったはずなのに、無理矢理聞いてしまいすみませんでした」



 心なしか落ち込んでいるような安室さんに、私の方が申し訳なくなる。

 うーん、私は全く気にしてないんだけど、安室さんはほぼ強制的に聞き出してしまった自分を許せないみたいだ。安室さんらしい正義感にも似たものだと思うけど、これが安室さんの負担になるのは嫌だな。



「ですからそれは気にしていませんよ。本当に、全く気にしていませんから! ……それより、安室さんはもっと自分を大切になさってください」

「えっ」

「分かりにくいですが、隈できてますよ。…… 誰かがそばにいてくれたらその人が甘やかしてくれる可能性もありますけど、そうじゃない場合自分を甘やかすことができるのは自分だけなんですから。もっとご自身のことを大事にしてくださいね」


 
 安室さんからしたら高校生が何を言っているんだって思うかもしれないけど、一人の人間として心配になってしまったから、これぐらいは許してほしい。


 まるで鳩が豆鉄砲を食ったような顔になっている安室さんの一礼して、帰るために、安室さんの言葉を聞かないためにも私は走り出した。

鮮やかな赤と鉄の匂い→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (521 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1734人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

緋焔(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます!すきと言っていただけてとても嬉しいです。 (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
緋焔(プロフ) - 積田姉貴さん» コメント嬉しい限りでございます。ありがとうございます!更新頻度は遅いですが少しずつ進めていきますので、お時間ある時にまた読んでいただけたら幸いです。 (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
緋焔(プロフ) - たろ。さん» 今更の返信、大変申し訳ございません。コメントありがとうございます! 赤井さんをかっこよく表現できているようで良かったです! (10月8日 18時) (レス) id: cc6c003b63 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すきです (10月8日 13時) (レス) @page26 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
積田姉貴(プロフ) - こちら更新はもうされないのでしょうか、?とても面白く読み進めていたので少し悲しい気持ちです🥲ぜひ気が向いたときにでも更新待ってます🥺 (9月19日 22時) (レス) @page24 id: 3fa67e14b8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Scarlet10 | 作成日時:2021年5月14日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。