1-1,番外編 ページ9
今日は私の兄、ジャミルが珍しく寝込んでいる。
ついさっきキッチンで作ったスープを、兄の部屋へ持っていったのだが、兄はゲホゲホと咳をしていた。
「大丈夫?」と聞くとジャミルは「これのどこが大丈夫なんだよ」と言われてしまった。
少々傷ついた。いや、だいぶ傷ついた。
と、まあ何故この話を最初に持ち出したのだのかというと私の主人はサーシャ様、ジャミルの主人はカリム様。今はジャミルがダウン中。
なのでカリム様の従者はこの1週間私になったのだ。
兄は「カリムの分もできるのか?」と咳をしながら言っていた。が、しかし!
残念ながら私はサーシャ様に出来る事はやらせているのだ。なので実質負担はそこまで変わらない。
休日なので他に何かしたいこともないし。
「入りますよ、サーシャ様。」
ガチャと扉を開けると既に私服に着替えたサーシャ様がいた。
流石、私が教えただけあるわ。と少し微笑を浮かべるとサーシャ様は、頭の上に?マークを浮かべ
「どうしたの?私の顔に何か?……もしかして、洋服の着方が違うとか……」
とあらぬ方向へサーシャ様の思考が傾いてきたので「違いますよ、安心してください。」と間髪いれずに否定をすると、安心したのか胸に手を当てて息を吐き出した。
「大丈夫そうですね。それでは食堂へ行きましょう。」
そう言いサーシャ様を廊下へ通す。
朝特有の冷たい外気が肌を撫で、髪の毛を少しだけ揺らす。
コツコツと靴音をならしながら食堂へ向かい、重たく煌びやかな装飾を施してある扉を開ける。
サーシャ様を席に座らせてから私は来た道を引き返し、カリム様を起こしに行った。
1分ほど歩くとカリム様の部屋の前にたどり着いた。
本当にどれだけ広いんだ、この家は。
「失礼いたします。カリム様、支度を………へ?」
扉の先にはベッドで爆睡しているカリム様がいた。
起きていないの?まだ??
腑抜けた声を出してしまったことを許してほしい。誰も爆睡してるなんて思わないじゃない。
なんて心の中で柄でもない言い訳を述べていると、ベッドの布にくるまっているカリム様がゆっくり体を起こした。
「ふぁぁぁ……あ、おはよう!A!!」
「…おはようございます、カリム様。」
朝起きてすぐにここまで明るい太陽のような笑顔を向けれるか?
私は無理だ。目が虚ろになって瞼が半分閉じているに違いない。断言出来る。
これはかなりカリム様のペースに乗せられそうだな。
長い戦いになりそう。
continue,
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夜市 - あたまのわるいひと°∀°さん» 了解です、ハーツラビュル回が終わったら短編を入れるつもりだったので、リクエストどうもありがとうございます。精一杯書かせて頂きますね。 (2021年4月3日 13時) (レス) id: 5befe0aadf (このIDを非表示/違反報告)
あたまのわるいひと°∀° - ジャミル妹にカリムの世話をさせて欲しい!!!お願いします!!!! (2020年11月14日 14時) (レス) id: eb666f030d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜市 | 作成日時:2020年9月13日 0時