─沈静─ ページ40
「おっ、起きたか」
見慣れた白い天井。ツンッ、と鼻にくる消毒液の匂い。極めつけは頭の妙な圧迫感。どうやら私は、高専の医務室にいるらしい。その証拠に硝子が瞳に映っている。……しょうこしょうこ。替えの包帯らしき物を用意しながら、硝子は時計をチラ見する。然りげ無さがかっけぇー！
「起きるの遅かったな。治癒力弱まってたんじゃないか？」
『まあそれは、いーくんがいないからだね』
「いない…？どういう事だ」
『任務で私が気絶しちゃって、いーくんが特級と戦ったんだよ。そして呪いは呪いでしか祓えないから、私との"縛り"を破って呪力を解放したの』
「ほーん」
包帯を替え終えると、硝子は体温計を押し付けてきた。大人しく受け取って、熱を測る。
『祓えたらしいけど、【犬神】は縛りを破った罰を受けて、今はﾞ浄化ﾞされてる。
霊としての力とか呪力とかが清浄された。今は"霊界"で安静にしてるから私の中にいない』
「詳しい事は知らんが、五条が心配してたから連絡してやれ。……って言っても、もう来てるな」
包帯の切った残りを片付けながら、ため息混じりに入り口を見た硝子。その数秒後、間隔が狭い足音が聞こえたかと思うと勢いよくドアが開いた。
「A〜ッ！良かったぁあ！！」
長身の男に飛びつかれた。勿論、反動で後ろに倒れる。ベッドの上で良かったー！体勢を立て直すと体温計が鳴っていることに気付く。表示窓を見てみるとＥｒ．２の文字。
『もう！測り直しになったじゃん！』
「ごめんごめん……でも、本当によかった……」
未だに飛びついたままの体勢。肌に当たる目隠しが、濡れているのは気の所為だろうか。悟は、硝子に無理矢理引き剥がされて地面にチョコンっと座った。わざとらしっ！
「それで、特級の術式は操術だった。狛犬とか他の呪霊も操ってたっぽいよ」
『狛犬？三級は私、祓ったよ』
「えー、特級に吸収されてたと思ってた」
『でも特級に指示してたのは【地縛霊】だよ。"霊"が見える呪霊は貴重だから、駒にしようとしてたんだと思う』
体温計の測れたよ、の合図が響く。寮に戻る許可が出て、悟と廊下を歩きながら言い合う。ふと下を見ると、グランドにいる釘崎達と目が合った。その瞬間、この後の予定が決定した。
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いーくん＝犬神 あだ名です
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片喰 - 五条先生…！一体、何円払ったんだ！ 続きが待ち遠しいです！ (2021年3月5日 17時) (
レス) id: eddf3dedf8 (このIDを非表示/違反報告)
もここ - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2021年3月5日 17時) (レス) id: a70ee3e6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：二見 | 作成日時：2021年2月28日 21時
