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─狛犬─ ページ38

「やっぱり見られてるね」

社殿の両脇に鎮座する苔が生えた狛犬。小さくて丸い目は僕達を捉えて離さない。恐らく、呪霊に操られているんだろう。ここまで出来るんなら、明らかに三級じゃないな。


『ねぇ、意外と広くない?』
「うん」
『二手に分かれる?』
「うん」
『じゃ私は、本殿行くね』

考えごとをしてたから無意識に答えていた。特級かもしれないのに分かれたら駄目じゃん!

兎に角、Aを追おうと走り出した時、狛犬が二匹共僕に向かって走って来た。僕とAを離れ離れにしたいってことか。狛犬を操作してるのは特級だな。術式か?


「ま、関係ないけどね」

噛み付いてきた狛犬を躱し、鳥居の方に蹴る。社殿に背を抜けてから術式を発動した。

術式反転「赫」

狛犬が粉々になったことを確認し、社殿に向かって走り出す。拝殿を抜けて幣殿の襖を勢いよく開けた時、血生臭い異臭が風に乗ってやってきた。僧侶や巫女だったであろう神社に元々いた人達が、原型を留めていない状態で倒れている。残穢からすれば、狛犬を操っていた呪霊の仕業だ。でも少し弱い。操作された呪霊の仕業だ。


[ あ っか"ぁ あんべえ"え ]
「邪魔だ」

呪力をぶつけて呪霊を祓い、急いで本殿に向かう。本殿までの廊下は酷く寒かった。奥に進めば進む程、冷気の割合が増えていく。つまりこの冷気は本殿から流れてきてる。


「Aに手を出すな。クソ呪霊!」
「……【犬神】?」

本殿から聞こえてきた怒鳴り声。それは初めて聞いた【犬神】の怒った声だった。
走る速度を上げた。Aに何かあって、【犬神】が特級と戦っていると分かったから。やっと辿り着いて襖を開くと、渡り廊下とは比にならない位の冷気に体を包まれた。


「五条さん…!Aを預かって!」

声がした方を見ると、特級動物霊【犬神】がAを抱えて特級呪霊と交戦していた。
言われた通りAを預かり、容態を確認すると頭を打って気絶していることが分かった。一方の【犬神】は、特級呪霊と向かい合っている。そして、独り言のように呟き出した。


「ごめんA……"縛り"破るよ」
「はっ?」

─俟つ─→←─本殿─



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片喰 - 五条先生…!一体、何円払ったんだ!   続きが待ち遠しいです! (2021年3月5日 17時) (レス) id: eddf3dedf8 (このIDを非表示/違反報告)
もここ - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2021年3月5日 17時) (レス) id: a70ee3e6ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:二見 | 作成日時:2021年2月28日 21時

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