6 映画鑑賞 ページ18
「A〜！」
『うわっ！』
校門に向かっていると、後ろから悟に抱きつかれた。勢いで転けてしかも一回転。その姿を悟は大笑いしながら見ているだけで、何一つ手を貸してくれない。性格クズ！
「制服似合ってんじゃーん！」
『ウッザ』
立ち上がって砂を払っていると、悟はいきなり親指を立てグッドのポーズをした。私がウッザと三言で済ませると泣き真似をし出したが私が歩き始めると慌てて喋り出した。
「オススメの映画ない？僕が持ってるの昔のばっかでさー」
『そりゃあるけど……書籍から映画化されたやつしか知んないよ？』
「それでいい！Aにそれ以外求めてない！」
生徒にたった一つのことしか求めてない教師って何だよ。クソ教師じゃん。しかも親指を立てるな！全然グッドじゃねぇんだよ！勿論、ウッザと連呼してやった。
「どうせ荷物取りにくんでしょ？序に持って来てよ」
『題名言うから自分で借りろ』
「それじゃ"いいもの"見せてあげらんないよ？いいの？」
『……分かったよ。夕方になるけどいい？』
「もっちろん！戻ってきたら電話よろしく〜」
フンッ、とわざと勢いよく悟から視線を外し、東京とは思えない山道を下った。
わざと足音を大きく立てる。その音に混じって、スマホの通知音が鳴った。その通知は私が待ちに待っていた小説の新作が発行されたというものだった。さっきまでの不機嫌が嘘の様に、私は何の映画を持って行こうか考えていた。
＊
『はーい、戻ったよー』
「«じゃ迎えに行くからそこら辺居てねー»」
『そこら辺ってどこだよ』
結局、校門の近くで小説を読むことにした。因みに通知で来ていた新作だ。 夕方になるよって言ったのは、つまりこういうこと。本屋で並ぶから遅くなるよー、って。
「来たよー！って……何読んでんの」
『気弱な主人公が学校一の男を使って生徒会長になるーって話。憧れてる』
「憧れててもなれないよ？Aは気弱じゃなくてバカじゃん」
『バカは常に馬鹿力を出せる、ってね』
ホントのことじゃんと悟に一蹴されたが、突っかかって行くと悟が歩き出した。
勿論、私も付いて行く。悟は止まらず校舎に入り奥に進み階段を降りて。私も同じ道を。最終的には地下室に辿り着いた。目の前の部屋からは、不規則な音が漏れている。
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片喰 - 五条先生…！一体、何円払ったんだ！ 続きが待ち遠しいです！ (2021年3月5日 17時) (
レス) id: eddf3dedf8 (このIDを非表示/違反報告)
もここ - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2021年3月5日 17時) (レス) id: a70ee3e6ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：二見 | 作成日時：2021年2月28日 21時
