十三夜月 ページ8
それから予想通り、
「護衛が決定して良かったじゃねぇか…アクダクト」
「自分が護衛から外れられて嬉しいって素直に言えば?」
「んなこたァ言ってねぇぜ?」
悪い顔で笑うジンを横目に紙に情報を書いて渡す
紙を受け取ったジンは薄縹の子に「せいぜい守るんだな」と笑って部屋を出ていった
「アクダクト、何かする事はあるか?」
「…珈琲が飲みたい」
「わかった」
護衛という名のお世話係にみえる薄縹の子は目尻を下げて淹れ立ての珈琲を私へとくれる
「…にしてもどこからそんな情報取ってくんだ?」
「たくさんの子が持ち帰ってくれるの」
「…なるほどな」
私の使い魔たちはこの日本…果ては日本の外にも進出している。その子たちが教えてくれるのだ、その情報を売っているだけ
……まぁ、違うように取られていると思うけれど
ある晩、いつものBARでお酒を嗜んでいると隣にベルモットが座った。クスクスと笑いながらお隣いいかしら、と座った後に聞いてきたベルモットにどうぞと短く返す
「あなたの小間使いと私の所の子とコルンの所の子を組ませて任務を与えるそうよ」
「…そう」
「あの3人上がってくると思うかしら?」
「上がってくるよ、諸星はヤードがとても長いから組織としては外しておけない戦力。安室はベルモットの男版…女から情報の方が出回りやすいから組織をより堅実にできる。緋川は諸星には届かなくてもコルンやキャンティと同じくらいのヤード撃てるから戦力になる上に近接も得意で柔和…組織のお得意様の護衛とかに使える」
「あら、よく見てるのね?」
「任務に連れてくのに戦えなかったら私が困る」
私の言葉に「貴方は相変わらず保守的ね」と笑ったベルモットは鼠じゃなかったらいいけれど、なんて言葉を残してBARを出ていった
「鼠なんてそこいらにいるわ」
私も、先の会話に上がった3人も、あの地域に根ざしてる幹部もあっちもこっちも。何故これだけの鼠を許しておいてこの組織が潰れないのかとまぁ原因はなんとなく分かるけれど。
組織のツートップが頑なに姿を見せない事と、それぞれが疑心暗鬼になってるせいで身内で身内を追い詰める事案が発生している事…他にもまだまだあるのだろうけど
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漣(プロフ) - まべさん» !?!?泣いていただけたと言っていただけてすごく嬉しいです!とても素敵なお言葉をありがとうございます!! (2019年8月27日 11時) (レス) id: af0e052924 (このIDを非表示/違反報告)
まべ(プロフ) - とっても素敵なお話ですね!!読んでる途中泣いちゃいました…!!貴方の作品に出会えて良かったです。 (2019年8月27日 11時) (レス) id: 17b10f229d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:漣 | 作成日時:2019年4月16日 5時