第52話『メッセージ』* ページ9
杏奈side
気味の悪いメッセージに背筋が凍る。
他のメッセージを開いてみても、みんな同じような内容が書かれていた。
【いくらでヤラせてくれる?】
【今日の夜10時に×××ホテルの前で待ってるよ】
【写真が好みでメッセージ送りました。杏奈ちゃん、可愛くて僕の好みです】
どういうこと?写真って何なの?
顔も知らない人達から、大量のメッセージが来ている。
ただ怖くて、気持ち悪くて、どうしようも無い吐き気に襲われる。
「杏奈ちゃん、大丈夫?顔真っ青だよ」
彩ちゃんが心配した表情で私の顔を覗き込む。
大丈夫と言いたいのに、吐き気がどんどん酷くなっていく。
私は片手で口元をおさえる。
気持ち悪い、限界かも・・・。
「おい!神崎、どうした!?」
若武くんが叫び、私の肩を黒木くんが抱き寄せた。
「気持ち悪いの?吐きそう?」
優しい声で聞かれ、私はただただ頷く。
「じゃあトイレに行こう。アーヤ、付き添ってあげてくれ」
「うん、分かった」
私は彩ちゃんにトイレに付き添ってもらい、便器に顔を突っ込むようにして思いっきり吐いた。
気持ち悪い・・・。
「これ、水。落ちついたら、うがいしてね」
彩ちゃんは不慣れながらも、私のサポートをしてくれる。
みんなの前でこんな醜態を晒すなんて・・・。
吐き終わると、とてつもない後悔が私を襲う。
みんなのところに戻りづらい。
「彩ちゃん、ありがとう。迷惑かけちゃってごめんね」
なるべく笑顔を取り繕うが、やっぱりまだ体調が優れなくて、引き攣った笑いになってしまう。
「杏奈ちゃん、無理に笑わなくていいんだよ。」
彩ちゃんが、私の背中に手を添える。
「みんなのところ戻りづらかったら、今日はもう帰っていいよ。みんなには、私から言っておくから」
私は首を横に振る。
「みんなに心配かけたまま帰れない」
あのメッセージのこと、みんなにはバレないようにしないと。
上手い言い訳考えないとなぁ。
彩ちゃんと一緒にみんなのいる部屋に戻ると、みんなが一斉にこっちを見た。
私は笑顔を取り繕う。
「みんなして見ないでよ〜。ごめんね、心配かけちゃって」
元いた場所に座り、みんなを見回す。
「ちょっと寝不足で気持ち悪くなっちゃっただけだから。もう大丈夫!」
上杉くんが目に鋭い光を宿す。
「嘘ついてねぇよな」
私は平静を装う。
「もちろん」
メッセージのことがバレたら、今以上にみんなに迷惑をかけることになる。
絶対バレないようにしないと
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マオ - 本当に面白くて好きな作品です。また更新してくださるのを心の底から願っています。 (4月25日 14時) (レス) @page36 id: 7f466015d5 (このIDを非表示/違反報告)
☺️ - 何度も読み直しました!ほんとに面白くて大好きです!!更新待ってます!頑張ってください (4月13日 15時) (レス) id: afc26fea88 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - どハマりしてしまいました!!応援しています!!! (3月27日 20時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
はなる(プロフ) - 更新ありがとうございます!何度も読み返すくらい大好きです!どうかご無理なさらずに、澪さんのペースで更新頑張ってください!楽しみにしています! (3月21日 15時) (レス) @page34 id: 8fca23518d (このIDを非表示/違反報告)
みぃあ(プロフ) - 何回も高評価したいくらい大好きです!!!頑張ってください! (3月20日 20時) (レス) @page32 id: 2f881ad2dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2022年5月9日 18時