第69話『ナイフ』 ページ27
杏奈side
私達は、周防望に何気ない質問を繰り返して会話を広げる。
最初は私たちが質問しているばかりだったが、しだいに周防望からも話を振ってくるようになった。
「そういえば、美門君はキャンプに興味があるんだよな?」
「はい。今度、初めてソロキャンプをしてみようと思っていて。よければ、アドバイスをお願いします」
「キャンプのことなら、なんでも聞いてくれ。」
自信満々な周防望に、私はぐっと身を寄せる。
「わぁ・・・!頼もしいですね!」
膝がぶつかるくらいの距離になり、周防望は一瞬硬直。
膝がぶつかっても逃げないということは、かなり心の距離が縮まっている証拠。
・・・この反応は、悪い感じではないな。
翼にちらっと目を向けると、翼は小さく頷いて口を開いた。
「俺、ソロキャンプすごい楽しみです。けど、初めてだから不安なんですよね。キャンプ自体も、あまり経験がないですし。」
周防望はその目に真剣な光を宿す。
「初めてソロキャンプをするなら、道具はちゃんと揃えといた方がいいぞ。持っていった方がいいものを、紙に書いて渡そうか?」
翼は軽く首を横に振る。
「そこまでは大丈夫ですよ。口頭で言ってくださったら覚えられます。」
すると、周防望はキャンプに持っていけばいいものをツラツラと述べていった。
キャンプの話をしている周防望はとても活き活きしていて、なんだか少し可愛く思えた。
この人が私を襲ってきたなんて信じたくないな。人間不信になりそう。
「ナイフなんかも、1本じゃなくていくつか持っていった方がいい。ブレードやハンドルの素材や形状によって、適した使用シーンがあるからな。アウトドアナイフと言えば、シースナイフ、フォールデイングナイフ、ツールナイフが基本だな。」
ナイフという単語に、翼が素早く反応する。
「どんな違いがあるんですか?」
「シースナイフは、折りたためない固定刃タイプ。堅牢性が高く頑丈なものが多くて、ブッシュクラフトや本格的なアウトドアに向いて いる。フォールデイングナイフは、ハンドルに刃を折りたたみコンパクトに収納できるタイプ。シースナイフに比べると丈夫さは劣るが、環境が整っているキャンプ場では十分な機能性だ。最後にツールナイフは、ナイフの他に、栓抜きやハサミなど、多種多様なツールがひとつになったタイプ。いろいろなシーンで活躍する便利なナイフだよ。どれも、持っていて損は無い」
ほんとに詳しいんだな。
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マオ - 本当に面白くて好きな作品です。また更新してくださるのを心の底から願っています。 (4月25日 14時) (レス) @page36 id: 7f466015d5 (このIDを非表示/違反報告)
☺️ - 何度も読み直しました!ほんとに面白くて大好きです!!更新待ってます!頑張ってください (4月13日 15時) (レス) id: afc26fea88 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - どハマりしてしまいました!!応援しています!!! (3月27日 20時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
はなる(プロフ) - 更新ありがとうございます!何度も読み返すくらい大好きです!どうかご無理なさらずに、澪さんのペースで更新頑張ってください!楽しみにしています! (3月21日 15時) (レス) @page34 id: 8fca23518d (このIDを非表示/違反報告)
みぃあ(プロフ) - 何回も高評価したいくらい大好きです!!!頑張ってください! (3月20日 20時) (レス) @page32 id: 2f881ad2dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2022年5月9日 18時