第62話『最高の友達』 ページ20
杏奈side
通話を終えると、私は彩ちゃんの肩に頭を乗せる。
「あの野郎・・・」
「杏奈ちゃん、口悪いよ」
「あの男・・・」
彩ちゃんはクスクス笑う。
「あんまり変わらないよ」
私は深いため息をついて姿勢を正す。
翼ってば、いつも勝手なんだから。
また何かひとりで抱え込もうとしている。
私には「周りを頼れ」って言うくせに、自分は全く頼ろうとしない。
それでよく私に説教ができたものだ。
「・・・杏奈ちゃん、怖くないの?」
彩ちゃんに目を向けると、彩ちゃんはキョトンとした顔だった。
「もしかしたら杏奈ちゃんを襲った犯人は周防望で、その本人に直接会いに行くんだよ。それなのに、怖くないの?」
「怖くなんか、」
そこまで言ってハッとする。
私、自然とまた嘘つこうとしてた。
取り繕うのが癖になっている。
私はわざとらしく咳払いをして、彩ちゃんに向き合う。
「うん。怖いよ」
そう言ってから、私は笑顔を見せた。
「でも、上杉君と翼がいてくれるから、大丈夫だと思ってる」
彩ちゃんは嬉しそうにニッコリと微笑んだ。
「何かあったら、すぐ言ってね。私、助けるから」
「あははっ 彩ちゃんヒーローみたい。ありがとう」
「ヒーローじゃなくて、友達だよ」
彩ちゃんからそんな風に言ってくれるなんて、珍しい。
「彩ちゃんみたいないい子が友達だなんて、贅沢だな〜」
「それはこっちのセリフだよ。杏奈ちゃんとこんなに仲良くなれるなんて思わなかったし」
「そうなの?私は絶対仲良くなれると思ったけどなぁ」
彩ちゃんは不思議そうに首を傾げる。
「どうして?」
「私、優しくて真面目な子って好きなの。それに、彩ちゃん顔可愛かったから、絶対仲良くなりたいと思ったし」
褒められているのかよく分からないというように、彩ちゃんは微妙な表情を見せた。
その顔が可愛くて、面白くて、私はつい笑ってしまった。
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マオ - 本当に面白くて好きな作品です。また更新してくださるのを心の底から願っています。 (4月25日 14時) (レス) @page36 id: 7f466015d5 (このIDを非表示/違反報告)
☺️ - 何度も読み直しました!ほんとに面白くて大好きです!!更新待ってます!頑張ってください (4月13日 15時) (レス) id: afc26fea88 (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - どハマりしてしまいました!!応援しています!!! (3月27日 20時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
はなる(プロフ) - 更新ありがとうございます!何度も読み返すくらい大好きです!どうかご無理なさらずに、澪さんのペースで更新頑張ってください!楽しみにしています! (3月21日 15時) (レス) @page34 id: 8fca23518d (このIDを非表示/違反報告)
みぃあ(プロフ) - 何回も高評価したいくらい大好きです!!!頑張ってください! (3月20日 20時) (レス) @page32 id: 2f881ad2dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2022年5月9日 18時