第4話『静かな怒り』 ページ9
彩side
授業が終わると、私は杏奈ちゃんと一緒に秀明の出入口に向かった。
一人で、あの目立つ集団の中に行く勇気がなかったから。
きっと、女の子たちが周りを取り囲んで、黄色い声を上げていることだろう。
それを想像して憂鬱になってくる。
送ってくれるのはありがたいんだけど、サッカーチームKZに所属してるうえ、成績もトップクラスの若武達は目立ってしょうがない。
出入口付近に近づくと、足を止める女の子が多く、私の予想は的中していた。
出入口で私と杏奈ちゃんを待っている若武たちの周りには、女の子が群がっていた。
ああ、今から自分がこの中に入ると思ったら恐怖でしかない・・・。
杏奈ちゃんは、私の手を握る。
「そんな怖い顔してたら、皆にびっくりされちゃうよ？」
私、そんな怖い顔してた！？
「大丈夫。私が一緒にいるから、何か言われたら私に任せて」
そう言って、杏奈ちゃんは片目をパチンと閉じる。
自信ありげなその顔を見ていると、なんだか安心した。
私は、杏奈ちゃんの手をぎゅっと握り返す。
そして、二人で若武たちに近づいた。
「待たせてごめんね」
杏奈ちゃんが、明るくみんなに声をかける。
すると、周囲がざわつき始めた。
「若武君たちが待ってたのって、あの子たち？」
「え、誰か知ってる？」
「サッカーKZ3人と、シャリの小塚君と知り合いって、どんな関係？」
たくさんの疑問と共に、聞こえてくる悪意のある声。
「地味な感じの2人なのに、どうやって取り入ったのかな」
「実は性格悪くて、無理やり関係築いたんじゃない？」
「あんまり、つり合ってないよね」
うぅ・・・目立ってる。
私が肩身狭く俯いた時、杏奈ちゃんが周りにいる人達に目を向けた。
その瞳には、凛とした光が宿っている。
そして、大きな声で言ったんだ。
「何か文句があるなら、直接言ってきたらどうですか？」
杏奈ちゃんはニコッと笑顔を浮かべる。
「迷惑なんですけど」
笑顔だけど、はっきりと怒っているのが分かる。
怖い・・・！
こうやって静かに怒りを見せる杏奈ちゃんを見るのは、「お姫様ドレスは知っている」の時以来だ。
杏奈ちゃんと翼が、付き合ってるのかと教室でからかわれた時。
あの時の杏奈ちゃんも、すごく怖かった。
いつも、笑顔で毒を吐くんだ。
杏奈ちゃんの怒りを察知した女の子たちは、慌てたようにそそくさと散っていく。
杏奈ちゃんのまとっている雰囲気は、独特だ。
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澪(プロフ) - ゆたんぽ。さん» えー！嬉しすぎます！ありがとうございます！ (2022年4月19日 17時) (
レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ。(プロフ) - 初コメ失礼します。いや、面白すぎませんか？更新楽しみにしてます！ (2022年4月19日 15時) (レス) id: 00d669ff5e (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 澪さん» いえいえ！本編も、オリジナルも、楽しみにしてるのっ！ (2022年4月16日 20時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - @白猫雪さん» ありがとうございます！とっても嬉しいです！これからも頑張って更新するので、よろしくお願いします！ (2022年4月15日 23時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 更新楽しみ〜！KZのオリジナルめっちゃ好き！澪ちゃんも、更新頑張ってね！ (2022年4月15日 21時) (レス) @page50 id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：澪 | 作成日時：2021年10月26日 22時
