第2話『体質』 ページ7
彩side
杏奈ちゃんが不審者に好かれやすいなんて、初めて知った。
みんなが杏奈ちゃんに注目する。
クラスメイトの視線を受け、杏奈ちゃんは困ったように口を開いた。
「別に、そんなことないよ・・・」
なんだか、あまりその話題には触れて欲しくなさそうだった。
「それより、私この後塾があるので、もう帰りたいんですけど」
杏奈ちゃんは無理やり話題を逸らす。
先生は最後に「気をつけてくださいね」とみんなに念を押してから、終礼を終えた。
私はカバンを持って教室を出る。
「彩ちゃん」
後ろから名前を呼ばれて振り返ると、杏奈ちゃんと翼がいた。
「一緒に帰ろ」
翼と二人で帰ったら周りの視線が怖いけど、杏奈ちゃんも一緒なら全然大丈夫だ。
私は頷き、3人で肩を並べて学校を出た。
せっかくなので、さっき気になったことを聞いてみる。
「杏奈ちゃんが不審者に好かれやすいって、どういう意味か聞いてもいい？」
杏奈ちゃんは、憂鬱そうに眉を下げた。
「この間友達と出かけた時に、私が痴漢に遭ったの」
えぇ！痴漢！？
「それって、大丈夫なの？」
「まあ普通に嫌なんだけど、痴漢に遭うのは慣れっこだから。昔は怯えて何も出来なかったけど、今は捕まえて警備員に突き出せるくらいに強くなった」
そう言いながら、杏奈ちゃんはその目に暗い影をおとす。
「友達と二人でいるのに痴漢されたときは、『こいつ正気？』ってちょっと引いた。さすがにムカついたら急所は蹴ったけど」
大変だね。
「他にも、知らない男の人に後つけられたり、追いかけられたり、急に抱きつかれたりとか、不審者にやけに遭遇しちゃうんだよね。そういう体質なのかなって割り切って考えるようにしてるけど、やっぱり困るかな」
知らない男の人に急に抱きつかれたりするなんて、考えただけでも怖い！
不審者に遭遇することすら体質だって割り切って考えられるなんて、杏奈ちゃんってほんとにメンタルが強い。
私だったら耐えられなくて、家に閉じこもっちゃいそう。
「その話題振られた時、明らかに嫌そうな顔してたね」
翼に言われ、杏奈ちゃんはちょっと息をつく。
「だって、不審者に好かれやすい体質なんて情けないじゃん。それに、こういうこと言ったら、自慢してるとか思ってくる人もいるしね。あんまり公にはしたくないの」
そう言って、杏奈ちゃんは私と翼に笑いかけた。
「だから今のこと、他の人にはナイショね」
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澪(プロフ) - ゆたんぽ。さん» えー！嬉しすぎます！ありがとうございます！ (2022年4月19日 17時) (
レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ。(プロフ) - 初コメ失礼します。いや、面白すぎませんか？更新楽しみにしてます！ (2022年4月19日 15時) (レス) id: 00d669ff5e (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 澪さん» いえいえ！本編も、オリジナルも、楽しみにしてるのっ！ (2022年4月16日 20時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - @白猫雪さん» ありがとうございます！とっても嬉しいです！これからも頑張って更新するので、よろしくお願いします！ (2022年4月15日 23時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 更新楽しみ〜！KZのオリジナルめっちゃ好き！澪ちゃんも、更新頑張ってね！ (2022年4月15日 21時) (レス) @page50 id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：澪 | 作成日時：2021年10月26日 22時
