第40話『張り付いた笑顔』 ページ46
彩side
「午後からの授業は受けるの?」
「あー・・・今日は宿題のプリントとか取りに来ただけなの。まだ少し体調が優れなくて、」
「KZの集合は?」
食い気味に翼が言った。
杏奈ちゃんの目の奥が少し暗くなる。
「みんな、何度も杏奈に連絡したけど、メッセージも既読にならないし、電話も1回も出なかったでしょ」
「・・・ごめん」
翼は、目の光をきつくする。
「ほんとにただの体調不良?」
きっとここまで念を押したら、杏奈ちゃんも、私たちが知ってるって薄々勘づいてくるだろう。
案の定、杏奈ちゃんは警戒するような目を翼に向けた。
「何を言わせたいの」
翼は挑発するように、皮肉な笑みを浮かべた。
「それ、わかってて言ってる?」
杏奈ちゃんの目が私に向く。
「彩ちゃんも知ってるの?」
突然話を振られ、私はあたふたする。
どうしよう!なんて答えるのが正解なの!?
私がまごまごしていると、杏奈ちゃんは察したようにため息をついた。
「じゃあ、どうせKZのみんなにも情報行ってるのか・・・。情報源は、黒木くんでしょ」
うっ、当たってる・・・。
「KZの会議を無断欠席したことは謝るけど、それ以外のことについては何も言う気ないからね」
いつになくきつい言い方だった。
杏奈ちゃんらしくない。
少し、苛立っているみたいに見える。
「今日はもう帰る。あと数日はまだ休むつもりだから、若武くんたちにも言っておいて。『杏奈はすこぶる元気なので心配しないでください。KZ会議は今週末なら参加できます』って」
吐き捨てるようにそう言うと、杏奈ちゃんは私たちに背を向けた。
私は慌てて口を開いた。
「今週末にKZ会議を開いたら、そこで全部話してくれるの?」
杏奈ちゃんは、顔だけこちらを振り返る。
そして、いつもと変わらない笑顔を浮かべた。
その笑顔は、私たちを拒絶しているようにも見えた。
「だから、話すことは何もないって。神崎杏奈は体調不良で休んでただけ。それ以上もそれ以下のネタもないよ」
逃げようとする杏奈ちゃんの腕を、翼が掴んで止める。
「待てよ杏奈。俺たちは、ほんとうにお前を心配して、」
そこまで言った時、その光景を見た同じ学年の女の子たちが、杏奈ちゃんに聞こえるように話し始めた。
「なにあれ、修羅場?」
「神崎さんって、最近ずっと休んでたよね。やっぱり、噂のことがあって学校に来ずらくなったからかな?」
杏奈ちゃんと翼は、表情を硬くした。
276人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
澪(プロフ) - ゆたんぽ。さん» えー!嬉しすぎます!ありがとうございます! (2022年4月19日 17時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ。(プロフ) - 初コメ失礼します。いや、面白すぎませんか?更新楽しみにしてます! (2022年4月19日 15時) (レス) id: 00d669ff5e (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 澪さん» いえいえ!本編も、オリジナルも、楽しみにしてるのっ! (2022年4月16日 20時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - @白猫雪さん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも頑張って更新するので、よろしくお願いします! (2022年4月15日 23時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 更新楽しみ〜!KZのオリジナルめっちゃ好き!澪ちゃんも、更新頑張ってね! (2022年4月15日 21時) (レス) @page50 id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:澪 | 作成日時:2021年10月26日 22時