第38話『友人のために』 ページ44
彩side
月曜日。私と翼は、お昼休みに被害者Aの元に向かった。
被害者Aは、3年生の女の先輩。
女子バスケ部のキャプテン。色白華奢で、ショートカットが良く似合う小顔の美人だ。
私たちは被害者Aを裏庭に呼び出し、人がいないのを確認して事情聴取を始めた。
「先輩、先日通り魔の被害に遭いましたよね?そのことについて、詳しく聞きたいんです」
翼の言葉に、先輩はビクッと肩を震わせ、警戒するような眼差しを私たちに向けた。
「どうして知ってるの?」
「知り合いの先輩から聞きました。」
先輩の表情が曇る。
「言っとくけど、何も話す気ないから。もう思い出したくもないの。詮索しないで」
急ぎ足で去ろうとする先輩。
引き止めないと!
私は慌てて口を開いた。
「私たちの友人が、先輩と同じように通り魔の被害に遭ったんです!」
先輩の足がぴたっと止まる。
「傷つけられた友人や、先輩のように被害にあった人達のためにも、通り魔の正体をつきとめて、捕まえたいんです。お願いします。協力してください」
先輩は私たちに背を向けたまま、黙り込んでいた。
しばらくして、控えめな声が聞こえてくる。
「通り魔を捕まえるなんて、できるの?」
先輩はゆっくりとこちらを振り返った。
その目には、悲しさと不安の色が見える。
私はさっきよりもいっそう力強い声で言った。
「私たち、友人と一緒に探偵チームを組んでいるんです。今までもたくさんの事件を解決してきたした。今回も、必ず解決してみせます!」
じっと先輩の目を見つめながら、私はもう一度「お願いします」と頼む。
先輩の目の奥に、少し安心したような光が煌めいた。
「分かったわ。事情聴取くらいなら、協力する」
やった!
私は翼に目を向ける。
翼は小さな声で私にお礼を言い、先輩に目を向けた。
「では、襲われた時の状況を詳しく教えてください」
先輩は小さく頷いて、ぽつりぽつりと話し始めた。
「部活終わりの夜、19時くらいに、いつも通り友達と学校を出たんだけど、途中で忘れ物をしたことに気づいたの。必要なものだったから、1人で学校に取りに戻って、また学校を出て、学校のすぐ裏の道のところで急に後ろから肩を掴まれたの。驚いて振り返ったら男の人がいて。そのまま肩を強く押されて、地面に転んだところを、馬乗りになられて、」
ゾッ!
「それで、そのまま体を触られて・・・運良く直ぐに人が通って助かったの」
想像するだけでも、すごく怖い。
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澪(プロフ) - ゆたんぽ。さん» えー!嬉しすぎます!ありがとうございます! (2022年4月19日 17時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ。(プロフ) - 初コメ失礼します。いや、面白すぎませんか?更新楽しみにしてます! (2022年4月19日 15時) (レス) id: 00d669ff5e (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 澪さん» いえいえ!本編も、オリジナルも、楽しみにしてるのっ! (2022年4月16日 20時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - @白猫雪さん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも頑張って更新するので、よろしくお願いします! (2022年4月15日 23時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 更新楽しみ〜!KZのオリジナルめっちゃ好き!澪ちゃんも、更新頑張ってね! (2022年4月15日 21時) (レス) @page50 id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年10月26日 22時