検索窓
今日:51 hit、昨日:43 hit、合計:86,456 hit

第30話『犯行現場』 ページ36

彩side


若武が、両手で前髪をかきあげる。

「そりゃ、連絡つかないよな」

吐き出すような言い方だった。

「どうするよ」

独り言のように呟いた若武は、クシャッと前髪をつかみ、目の光をきつくする。

「神崎はさ、」

黒木くんが口を開いた。

「周防光からの嫌がらせのせいで、今まで仲の良かった人達から避けられるようになって、本人は笑ってるけど、精神的には追い詰められてる状況だと思う。そんな時に通り魔に襲われて、酷い怪我を負わされて、かなりしんどい状態だ。俺たちが支えてやらないといけない」

みんなは、黒木くんの言葉を静かに聞いていた。

「神崎は、本当にすごく良い奴なんだ。誰にでも分け隔てなく優しくて、誰かのために、本気で泣いたり怒ったりできる。そんな良い奴が、今みたいな状態にあるのは不幸な事だよ」

黒木くんの言葉を聞き、若武はすくっと立ち上がる。

「黒木の意見に賛成の者は、挙手」

全員がすぐに手を挙げた。

「なら、俺たちがすることはただ一つだけだ。神崎を襲った通り魔を捕まえるぞ!」

みんなも同じことを考えていたので、顔を見合わせて頷く。

「事件名は『連続通り魔事件』だ。アーヤ、記録」

若武に言われ、私はカバンから事件ノートを取りだし、シャープペンシルを握った。

準備オッケイ!

私の体制が整ったのを確認すると、若武は話を進めた。

「黒木。神崎が襲われた時のことを詳しく教えてくれ」

黒木くんはiPadを出し、操作しながら話す。

「神崎が通り魔に襲われたのは、20時半頃。場所は、神崎の家から1km程離れたところだ」

机にiPadを置き、地図を見せてくれる。

杏奈ちゃんが被害に遭った場所に、赤いバツ印がつけられていた。

「知ってる奴はいると思うけど、ここら辺は街灯も人通りも少ない。だから、通り魔が人を襲うには絶好の場所だ」

そんな所で通り魔に襲われるなんて、どれだけ怖かっただろう。

「通り魔は後ろから神崎に近づき、シースナイフで肩を斬った」

私は首を傾げる。

シースナイフが、どんなナイフか分からなかったんだ。

そんな私に気づいたのか、黒木くんが説明してくれる。

「シースナイフっていうのは、アウトドアナイフの1つだよ。主にキャンプなどで使われる。鞘に刃を収める固定刃で、刃とハンドルが一体となっている。」

昔の武士が持ってた刀の小さいバージョンみたいな感じかな。

第31話『ごめん』→←第29話『被害者』



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (190 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
276人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - ゆたんぽ。さん» えー!嬉しすぎます!ありがとうございます! (2022年4月19日 17時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ。(プロフ) - 初コメ失礼します。いや、面白すぎませんか?更新楽しみにしてます! (2022年4月19日 15時) (レス) id: 00d669ff5e (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 澪さん» いえいえ!本編も、オリジナルも、楽しみにしてるのっ! (2022年4月16日 20時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - @白猫雪さん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも頑張って更新するので、よろしくお願いします! (2022年4月15日 23時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 更新楽しみ〜!KZのオリジナルめっちゃ好き!澪ちゃんも、更新頑張ってね! (2022年4月15日 21時) (レス) @page50 id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年10月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。