第23話『ネガティブ』 ページ29
杏奈side
学校でのみんなの視線は、塾ほど酷くはなかった。
噂を信じる人、信じない人が半々で、同じクラスの人や仲の良かった人は、私のことを信じてくれているみたいだった。
だから、そんなに居心地が悪い訳では無いんだけど・・・。
「杏奈、次移動教室だよ。行こ〜」
「あ、うん!」
友達と廊下を歩いていると、他クラスの人からちょくちょく視線を感じる。
「あ、噂になってるのって、あの子じゃない?」
「え?どっち?」
「髪下ろしてる方。」
「あー確かに顔はそこそこ可愛いけど、美門くんを独占できるほどじゃないね」
「自分のこと可愛いとか思ってそう」
好き勝手言われるのは、もう慣れるしかない。
私と会話したことがない人にも、噂だけで勝手に私を評価される。
それは仕方のないことなんだ。
それが、噂の怖いところ。
「杏奈ってば、一躍有名人だね」
友達が苦笑して言う。
私は目を伏せる。
「ごめんね。私と一緒にいたら、肩身狭い思いさせちゃうかも・・・」
「全然平気。ネガティブになってるなんて杏奈らしくないね。気にしない方がいいよ」
友達に励まされ、私は笑顔を作る。
「ありがとう」
そして何より1番地獄なのが・・・。
「翼、今日の昼休みに、数学で教えて欲しいところがあるんだけど、」
私が翼にちょっとでも近づいたり声をかけると、噂を知っている人はパッとこちらを見てくる。
それは、翼が私に声をかけた時も同様だ。
しかも、私たちが名前で呼びあっているということに、みんなは過剰な反応を示す。
だから翼は、何となく人前で私に話しかけることが減った。
それは私への気遣いなんだろうけど、私はそれが少し悲しかった。寂しいといった方が、気持ち的には近いのかもしれない。
いつも隣にいた翼が遠くに行ってしまったようで、どうしようもない喪失感を覚えた。
塾が違うし、学校でも話さなくなったら、翼との関わりは探偵チームKZだけになってしまう。
それが嫌だったから、私は周りの視線お構いなしで翼にいつも通り話しかけていた。
私が普通に話しかけたら翼も応えてくれるけど、翼は断固として、自分から話しかけてこなかった。
たぶん、こんな状況になってしまったことを反省しているのもあるんだろう。
後悔、懺悔、罪悪感。
翼にも、私にも、負の感情ばかりがつのっていく。
若武くんに言われた通り待機してるだけなら、私がKZにいる意味が無い。
私にも、出来る事とかないのかな。
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澪(プロフ) - ゆたんぽ。さん» えー!嬉しすぎます!ありがとうございます! (2022年4月19日 17時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ。(プロフ) - 初コメ失礼します。いや、面白すぎませんか?更新楽しみにしてます! (2022年4月19日 15時) (レス) id: 00d669ff5e (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 澪さん» いえいえ!本編も、オリジナルも、楽しみにしてるのっ! (2022年4月16日 20時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - @白猫雪さん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも頑張って更新するので、よろしくお願いします! (2022年4月15日 23時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 更新楽しみ〜!KZのオリジナルめっちゃ好き!澪ちゃんも、更新頑張ってね! (2022年4月15日 21時) (レス) @page50 id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年10月26日 22時