検索窓
今日:10 hit、昨日:43 hit、合計:86,415 hit

第17話『最強は上杉』 ページ23

杏奈side


秀明に行くと、私に向けられる視線はあからさまなものになっていた。

もう秀明の有名人だな、私も。

注目されるのはあんまり好きじゃないんだけど・・・まあ、これくらいなら気にしなくてもいいか。

私が教室に向かうために階段を上がっていると、後ろから名前を呼ばれる。

振り返ると、上杉くんがこちらに駆け寄ってきていた。

上杉くんは私の前まで来ると、凛とした眼差しを向けてくる。

「この噂、どうなってんだよ」

やっぱり、上杉くんも知ってるよね。

「若武、カンカンに怒ってるぞ。今日授業終わったら、美門も含めて全員で帰るから、その時に事情を話せよ」

私は目を伏せる。

「私・・・みんなに迷惑と心配しか掛けてないよね」

KZの皆は私にたくさんのものを与えてくれるのに、私は皆に何もあげられない。

「ごめんね」

私が謝ると、上杉くんは私の頭を小突いた。

顔を上げて上杉くんを見ると、その表情は少し怒っているようだった。

「しっかりしろ」

わっ、怒られた。

思わず、背筋をビシッと伸ばす。

「周りの言動に惑わされて、神崎がネガティブになる必要ねーよ」

慰めてくれてる。

この前、「相談事するな」みたいなこと言ってきたくせに、落ち込んでる人とかを見るとほっとけないんだね。

そういうところが優しいって言ってるんだよ。

「うん。ありがとー」

ヘラっと笑い、小突かれた部分を片手でさする。

「上杉くんに小突かれたの、初めてかも」

「他に誰が小突いてくるんだ?」

「翼かなぁ」

上杉くんはフッと笑う。

「ぽいな。想像つく」

「あははっ!そう?」

私と上杉くんが笑い合っていると、周りのヒソヒソと話す声が聞こえてくる。

「あの子って、今美門くんと噂になってる神崎杏奈ちゃんだよね?」

「上杉くんとめっちゃ仲良さそうじゃん」

「もしかして、二股?」

「えぇ・・・最低」

「でも神崎って、超性格悪いんだろ。二股ぐらい、普通にするんじゃね?」

「やば、ビッチじゃん」

・・・私がちょっと男の子と話すだけで、この反応か。

ああ・・・うるさいな。

私が耳を塞ごうとした時、上杉くんが周りに人達を鋭い目つきで見回した。

「おまえらなぁ、」

睨みをきかせ、大きな声で言う。

「くだらねぇこと言ってんじゃねーよ!」

キレた上杉くんに、みんなは恐怖を覚える。

そして、ヒソヒソ話をやめて早足で去っていく。

上杉くんって、最強かもしれない。

第18話『露骨』→←報告。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (190 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
276人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - ゆたんぽ。さん» えー!嬉しすぎます!ありがとうございます! (2022年4月19日 17時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆたんぽ。(プロフ) - 初コメ失礼します。いや、面白すぎませんか?更新楽しみにしてます! (2022年4月19日 15時) (レス) id: 00d669ff5e (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 澪さん» いえいえ!本編も、オリジナルも、楽しみにしてるのっ! (2022年4月16日 20時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - @白猫雪さん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも頑張って更新するので、よろしくお願いします! (2022年4月15日 23時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
@白猫雪(プロフ) - 更新楽しみ〜!KZのオリジナルめっちゃ好き!澪ちゃんも、更新頑張ってね! (2022年4月15日 21時) (レス) @page50 id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年10月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。