第52話『上杉、いた』 ページ8
杏奈side
石代高原は東京近郊にあり、東北新幹線で東京駅から約1時間、車を使って東北自動車道を通ると、1時間30分ぐらい。
週末になり、朝8時に秀明前に集合ということで行ってみると、そこには黒木くんと彩ちゃんがいた。
「神崎、おはよ。こっちだよ」
黒木くんに連れられ、私と彩ちゃんは駐車場に着いた。
そこには、バスみたいに大きな黒いワンボックスカーが停まっていて、窓から若武くんたちが顔を出した。
「よっ!」
運転席にはサングラスをかけた男の人がこちらに背中を向けて座っている。
「これ、黒木が調達してきたから」
黒木くんって・・・すごい!
「さ、乗って」
後から言われて、私と彩ちゃんが車の中に入ると、黒木くんも乗ってきてスライドドアを閉めた。
メンバーは、若武くん、美門くん、小塚くん、彩ちゃん、それに黒木くんで、東条さんはいない。
「上杉んちに寄って、あいつを乗せて出発だ。東条渚は昨日、電車で先に帰った」
車はゆっくり動き出し、駅前に向かう通りに出る。
「上杉君とは、話がついてるの?」
彩ちゃんが聞き、私たちは顔を見合わせる。
「おまえ、話した?」
「いや、美門が話しただろ」
「俺、話してない。神崎は?」
「私も話してないよ。小塚くんは?」
「僕も、してないよ」
誰も話していなかった。
彩ちゃんは信じられないという顔になる。
「どうするわけ!?」
彩ちゃんが咎めると、若武くんたちは顔を見合わせる。
「なんとかなるよな」
「ん、携帯あるしさ」
私がふと窓の外に目をやると、車はちょうど駅前のロータリーに差し掛かるところで、改札に向かう階段を上っていく上杉くんの姿を見つけた。
リュックの背負い紐をまとめて、片方の肩に担いでいる。
「上杉くん、いた」
私がそう言うと、みんなが窓の外を見た。
「車、止めて」
黒木くんが言い、開いたドアから美門くんが飛び出していく。
少しして、美門くんが上杉くんを連れて戻ってくる。
若武くんが上杉くんに向かって言う。
「その恰好見れば、どこ行くとこだったか、1発だぜ。俺たちも同じとこに行くんだ。乗ってきなよ」
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じゃんけんぽんのあいこでしょ - (付け足し)今は黄金の雨は知っているまでしか持っていないけど、もう妖怪パソコンは知っているまで読みました。面白すぎます!! (2021年12月11日 7時) (レス) @page25 id: 332cd5a7b6 (このIDを非表示/違反報告)
じゃんけんぽんのあいこでしょ - 面白くて本を買っていないところまで読んでしまいます。オチ美門君がいいと思ってます! (2021年12月11日 7時) (レス) @page17 id: 332cd5a7b6 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃこ - すごく面白いです!オチは翼がいいです (2021年7月10日 12時) (レス) id: 3464283e0f (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - いつも楽しみにしています!オチは翼がいいです (2021年6月25日 7時) (レス) id: 1bc28cf27b (このIDを非表示/違反報告)
美麗 - いつもありがとう!オチは、翼がいいです。 (2021年6月11日 23時) (レス) id: bde687998f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年3月17日 23時