第20話『再結成』 ページ45
杏奈side
帰宅して部屋で私服に着替えていると、携帯が鳴った。
黒木くんから電話だった。
「もしもし。どうしたの?」
「プログラミング言語の学習は、どう?やってる?」
私はスピーカーホンにして携帯をベッドの上に置き、着替えながら会話する。
「やってるよ〜。一生懸命やってるけど、まだまだって感じ。私、理解能力低いから」
黒木くんはふっと笑う。
「今からでも、教えようか?俺は、いつでも大歓迎だよ」
「うーん・・・もうちょっと一人で頑張ってみるよ!でも、ありがとう。黒木くん、優しいね」
「上手く避けたね」
「そんなんじゃないよ〜」
ほんと、この人って察しがいいというか鋭いというか、感性が大人なんだよなぁ。
「ところで、相談があって電話したんだけど。KZを復活させたくない?」
KZを、復活・・・。
「させたい。」
迷わずそう答えた。
「そうだと思った。俺も、させたいよ。小塚もアーヤもそう言ってるし、上杉も、小塚のとこに電話してきていろいろと気にしてるようだから、きっと同じ気持ちだと思う。美門については、今回のことに絡んでないからわからないけどね。神崎、何か聞いてる?」
「ううん。特には。美門くん結構落ち込んでたし、あまり深くはふれられないから」
でも、絶対させたいって思ってるよ。KZにも戻りたいって、思ってるに決まってる。
美門くんは、KZをとても大切にしていたから。
「それでさ、KZ復活のチャンスが来てるんだ」
え、ほんとに?
「さっき小塚から連絡があったんだ。若武が、今日の午後、家に来ないかって電話してきたんだって。雀のヒナを見せる気らしい。で、小塚が俺にこう言った、これは解散したKZの、再結成のチャンスじゃないかって」
小塚くんが言い出したんだ。なんか意外かも。
「でも若武くん、頑固だし、意地になってるだろうし、再結成は難しいんじゃない?」
黒木くんはちょっと笑った。
「あいつの頑固には、弱点がある」
弱点?
「それは、あいつが『ウェーブの若武』だってことさ。本質的に気分屋だから、どんな感情も長くキープできないって側面を持ってる。そこを利用すればいいんだ」
「どうやって?」
「みんなで家に押しかけていって、無理矢理上がりこみ、若武の様子を見ながら強引に話に巻き込んで再結成を持ち込む」
それなら、何とかなりそうかも。
「分かった!じゃ、頑張ろ!」
「ああ。じゃあ、若武んちでね」
切れた電話からは、ツーツーと電子音が鳴った。
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じゃんけんぽんのあいこでしょ - (付け足し)今は黄金の雨は知っているまでしか持っていないけど、もう妖怪パソコンは知っているまで読みました。面白すぎます!! (2021年12月11日 7時) (レス) @page25 id: 332cd5a7b6 (このIDを非表示/違反報告)
じゃんけんぽんのあいこでしょ - 面白くて本を買っていないところまで読んでしまいます。オチ美門君がいいと思ってます! (2021年12月11日 7時) (レス) @page17 id: 332cd5a7b6 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃこ - すごく面白いです!オチは翼がいいです (2021年7月10日 12時) (レス) id: 3464283e0f (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - いつも楽しみにしています!オチは翼がいいです (2021年6月25日 7時) (レス) id: 1bc28cf27b (このIDを非表示/違反報告)
美麗 - いつもありがとう!オチは、翼がいいです。 (2021年6月11日 23時) (レス) id: bde687998f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年3月17日 23時