第43話『怒ってる?』 ページ26
杏奈side
若武くんが目を輝かせる。
「よし、決まり!あいつらを拉致ろう。どうせゲーセンあたりをクルージングしてんだろ。今夜からみんなで、秀明のあと、ゲーセンに張り込みだ」
張り込みって、なんか刑事みたい。
「アーヤは、事件ノートの整理をしておくこと。小塚は、マスクの分析を急ぐこと」
若武くんは気遣うような目を私に向ける。
「神崎は、まだ正式メンバーじゃないし、危険もあるから待機だ」
えぇ・・・。
行きたいけど、わがままは言っちゃダメだ。
「砂原は、ちょっと変だったよね」
美門くんが呟く。
「シュン・サクライ氏に紹介してくれって言ったとたん、異常に警戒したもの」
ほんとに。
「何か隠してるか、あるいはシュン・サクライ氏に俺たちを近づけたくないか、どっちかだね。シュン・サクライ氏には、何かあるのかな」
若武君がクセのない髪をかき上げる。
「それも、サトケンを拉致れば、わかるさ」
もうサトケンさんを拉致る気満々ですね。
上杉くんが難しそうな顔をした。
「それにしても、砂原先生をどうするよ。あの勢いじゃ、サトケンの窃盗が発覚したら、ブロークン・ハートだぜ。意地になって、身代わりになるくらい言いかねない熱さだろ」
そんな事になったらやだ!
「そんな先のこと、今から言ってても始まんねーよ」
若武くんがバッサリと言う。
「とにかくサトケンの身柄を確保することだ」
それまでずっと黙っていた黒木くんが、いきなり立ち上がってドアに向かう。
「俺、駅の北側のゲーセン、受け持つから」
そう言うと、そのまま出ていってしまった。
「黒木くん、なんだか怒ってる・・・?」
私がそうつぶやくと、上杉くんがクスッと笑う。
「砂原に威嚇されたからな。証拠を突きつけて、おまえこそ10年早いぜ、って言ってやりたいんだろ。気持ちはわかる」
黒木くんって、冷静に見えて、意外と心が熱いよね。
「今、気づいたんだけどさ」
若武くんが身を乗り出す。
「俺たちにぶつかった時、サトケンと中年男は、『ブラック・メアリー』を盗み出して、持ってたんだよな。その匂いをたどって『ブラック・メアリー』の在処を捜し出せないか。美門、どう?」
美門くんが首を横に振った。
「『ブラック・メアリー』自体の匂いを、俺知らないし、あの時は、人間から漂ってくる匂いと一緒になってた。今からそれを分離させて、跡をたどるのは無理だよ。どんな優秀な警察犬でも出来ないと思う」
まあ、そうだよね。
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澪(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈#(プロフ) - 続編嬉しいです!頑張ってください!! (2020年7月26日 11時) (レス) id: 6ea719cde4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年7月26日 0時