検索窓
今日:20 hit、昨日:63 hit、合計:153,665 hit

第43話『怒ってる?』 ページ26

杏奈side


若武くんが目を輝かせる。

「よし、決まり!あいつらを拉致ろう。どうせゲーセンあたりをクルージングしてんだろ。今夜からみんなで、秀明のあと、ゲーセンに張り込みだ」

張り込みって、なんか刑事みたい。

「アーヤは、事件ノートの整理をしておくこと。小塚は、マスクの分析を急ぐこと」

若武くんは気遣うような目を私に向ける。

「神崎は、まだ正式メンバーじゃないし、危険もあるから待機だ」

えぇ・・・。

行きたいけど、わがままは言っちゃダメだ。

「砂原は、ちょっと変だったよね」

美門くんが呟く。

「シュン・サクライ氏に紹介してくれって言ったとたん、異常に警戒したもの」

ほんとに。

「何か隠してるか、あるいはシュン・サクライ氏に俺たちを近づけたくないか、どっちかだね。シュン・サクライ氏には、何かあるのかな」

若武君がクセのない髪をかき上げる。

「それも、サトケンを拉致れば、わかるさ」

もうサトケンさんを拉致る気満々ですね。

上杉くんが難しそうな顔をした。

「それにしても、砂原先生をどうするよ。あの勢いじゃ、サトケンの窃盗が発覚したら、ブロークン・ハートだぜ。意地になって、身代わりになるくらい言いかねない熱さだろ」

そんな事になったらやだ!

「そんな先のこと、今から言ってても始まんねーよ」

若武くんがバッサリと言う。

「とにかくサトケンの身柄を確保することだ」

それまでずっと黙っていた黒木くんが、いきなり立ち上がってドアに向かう。

「俺、駅の北側のゲーセン、受け持つから」

そう言うと、そのまま出ていってしまった。

「黒木くん、なんだか怒ってる・・・?」

私がそうつぶやくと、上杉くんがクスッと笑う。

「砂原に威嚇されたからな。証拠を突きつけて、おまえこそ10年早いぜ、って言ってやりたいんだろ。気持ちはわかる」

黒木くんって、冷静に見えて、意外と心が熱いよね。

「今、気づいたんだけどさ」

若武くんが身を乗り出す。

「俺たちにぶつかった時、サトケンと中年男は、『ブラック・メアリー』を盗み出して、持ってたんだよな。その匂いをたどって『ブラック・メアリー』の在処を捜し出せないか。美門、どう?」

美門くんが首を横に振った。

「『ブラック・メアリー』自体の匂いを、俺知らないし、あの時は、人間から漂ってくる匂いと一緒になってた。今からそれを分離させて、跡をたどるのは無理だよ。どんな優秀な警察犬でも出来ないと思う」

まあ、そうだよね。

第44話『約束』→←第42話『始動』



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (85 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈#(プロフ) - 続編嬉しいです!頑張ってください!! (2020年7月26日 11時) (レス) id: 6ea719cde4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年7月26日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。