第42話『始動』 ページ25
杏奈side
「事務所で、作戦会議だ」
若武君が言い、私は一旦自分の家に戻り、自転車に乗って若武くんの家に向かった。
私が来た時には、彩ちゃん以外のみんながもう若武くんの家の書斎に集まっていた。
美門くんの隣に腰を下ろすと、私は美門くんに目を向ける。
「交番では、ありがとう」
今更ながらお礼を言うと、美門くんは綺麗な瞳にふっと優しい笑みを浮かべた。
「こっちこそ、大切な友達認定ありがとう。あの言葉、結構嬉しかった」
私はちょっと笑う。
「あの不良3人を前に話すのは緊張したけど、これだけは絶対に譲れないなって思って言っちゃった」
私と美門くんが顔を見合わせて笑っていると、彩ちゃんが来た。
「そろったな。始めるぞ。アーヤ、記録を読んで」
彩ちゃんは立ち上がってノートを手に口を開く。
「『美門&神崎襲撃リベンジ赤い仮面事件』の途中経過を報告します。事件は、美門翼と神崎杏奈が朝、駅で襲われたことに始まりました。これは、遊ぶ金の欲しさのサトケン達の犯行であることが判明。さらに同日の夜、サトケンと、二人の中年男が宝飾品店ハリー・ウィンソルに侵入。黒ルビー『ブラック・メアリー』を窃盗、赤い仮面を落として逃走しました。この事件は当初、国際的な宝飾品窃盗団『MASQUE ROUGE』と関係があると思われたものの、現状では、赤い仮面団を真似したものである可能性が強いとの判断です。またサトケンと砂原は友人関係にあり、砂原はサトケンの関与を知らないと思われます。サトケンと組んだ中年男二人については、今のところ不明。以上」
彩ちゃんが読み終えると、若武くんが片手を出した。
「似顔絵、見せて」
すると彩ちゃんはコピーしてくれていた似顔絵を、みんなに配った。
コピー代、後で払おう。
「この中年男2人が、キーマンだ」
若武くんが指でコピーをパチンとはじく。
「こいつら、誰だよ。サトケンには父親がいない。ゲーセン仲間にしちゃ、歳食い過ぎてる。となると、一緒に窃盗をしたこいつら、誰だ。サトケンと、どこでつながってる?こいつらを捜して、全貌を吐かせようぜ」
上杉くんが腕を組みながらソファの背もたれに寄りかかる。
「このあたりの人間じゃなかったら、割り出すのは難しくね?東京あたりにひそんでるとしたら、捜しようもないじゃん」
小塚くんが身を乗り出した。
「じゃサトケンから聞き出すっていうのは、どう?」
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澪(プロフ) - 紗奈#さん» ありがとうございます! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈#(プロフ) - 続編嬉しいです!頑張ってください!! (2020年7月26日 11時) (レス) id: 6ea719cde4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年7月26日 0時