笑顔の仮面は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

第5話『お似合い』 ページ6

彩side


「美門くん、ここの問題教えてー」

「しょうがないなー。なら、1問100円ね」

「ええ！お金取るの！？」

「冗談。どこ？」

翼と杏奈ちゃんは、日に日に仲良くなっていく。

2人はクラスでも特別仲が良くて、少し噂になっていた。

翼と杏奈ちゃんが付き合ってるんじゃないかって。

その噂に対しての評価は五分五分だった。

ある人は、「神崎さんは明るいしいい子だから、美門くんともお似合い！」と言うし、また別の人は「大して顔も可愛くないくせに生意気」と言っている。

でも、うちのクラスの大半の人は、ほとんど前者だった。

同じクラスの分、杏奈ちゃんがどれだけいい子かも知ってるし、みんな杏奈ちゃんに好印象を抱いているから。

当の本人たちはその噂を知らないみたいだけど、知ったらどう思うんだろう。

私なら、付き合ってない人と噂されたらかなり迷惑だけど。

お昼休みに、翼と杏奈ちゃんが2人でお弁当を食べているのもよく見る光景だ。

その日も、私は教室で一人で食べて、翼と杏奈ちゃんが一緒にお昼を食べていた。

2人はどうやら勉強をしながら食べているみたい。

杏奈ちゃんはあんまり勉強が得意じゃないみたいで、よく翼に勉強を教えて貰っている。

私も前に杏奈ちゃんに勉強を教えたことがある。

杏奈ちゃんは努力家だから、苦手なことにも前向きに取り組もうとしている。

その姿が私はとっても愛らしいと思った。

平和なお昼休み。

そうなるはずだったのに・・・。

「また2人で飯食ってんの？さすが夫婦だな」

そんな冷やかしの声が、教室に響いた。

それは隣のクラスの男子で、たしか、よく翼とも一緒にいるのをみかける。

イケてるグループの人だ。

翼と杏奈ちゃんは、2人して顔を上げてその男の子の方を見る。

皆もざわつき出す。

「もうキスもしたのか？」

冷やかしの声はだんだんと増えてきて、みんなが翼と杏奈ちゃんをからかう空気になる。

私はハラハラした。

こんなのって酷い。やりすぎだ。

かなり騒いでいるので、他クラスの人も結構集まってきている。

からかう声の中、嫉妬した女子の声もあった。

「ていうかまじ釣り合ってないし。身の程わきまえろよ」

「愛想振りまいて男子に媚び売ってバカみたい」

「大して可愛くないくせに」

杏奈ちゃんを批判する声も加わり、もうカオス状態。

翼と杏奈ちゃんは固まっている。

「キスしろよ。キース！」

批判の声や冷やかしの声は、キスコールへと変わる。

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