笑顔の仮面は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

第4話『悩み』 ページ5

彩side


それから私は、ほぼ毎日杏奈ちゃんと一緒にお昼を食べていた。

お昼だけじゃなく、日常生活の中でも一緒にいることが増えたし、私はすごく嬉しかった。

でも、私は少し杏奈ちゃんのことが心配だった。

杏奈ちゃんは毎日笑っているけど、ストレスとかないのかな？

嫌なこととか、気に入らないことって、人は誰しもある。

ストレスを感じているのにいつも笑ってるって、本人にとってはすごくしんどいことだと思う。

杏奈ちゃんは、誰かに何かを頼まれても、嫌な顔一つせずに引き受けている。

たまに理不尽なことも頼まれてるのに、絶対に断らない。

かなりのお人好しなんだ。

だから、もしストレスとか悩みがあるなら私が聞いてあげたい。

協力は出来なくても、聞くくらいなら私にも出来ると思うから。

私はある日の昼休み、思い切って杏奈ちゃんに聞いてみることにした。

「杏奈ちゃんって、なにか悩んでることとかない？」

「え？どうして急に？」

杏奈ちゃんは自分の顔を触る。

「もしかして、疲れた顔してた！？」

そういうわけじゃないんだけど・・・。

「杏奈ちゃんっていつも笑ってるから、なにか悩みを抱えてないか心配なの。悩みがあるなら聞きたいなって思って」

「んー・・・そうだなあ・・・」

杏奈ちゃんは顎に人差し指を運んで考える。

そして、少ししてからにっこり笑った。

「今は特に何も無いかな！」

私は少しびっくり。

こういう時って、普通に打ち明けてくれるものだと思ってた。

「心配してくれてありがとう、彩ちゃん。でも、私は全然大丈夫だから。ストレスとかたまりにくいんだよね。ふふっ、彩ちゃんは優しいね！ほら、もうチャイムなっちゃうから、教室戻ろ」

これって、はぐらかされたのかな？

私は少し不満だったけど、本人がないって言うなら、これ以上しつこく聞く訳には行かない。

私は、それ以上は何も聞かずに、杏奈ちゃんと教室に戻った。

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