第9話『制作By小塚』 ページ10
杏奈side
彩ちゃんは美門くんの顔を見るなり唖然としていた。
どうしたんだろう?
「どうしたの。」
ようやくのことで彩ちゃんがそう言うと、美門くんはクスッと笑った。
「忘れ物したんだ、スマホ」
美門くんはバスケ部の朝練中だから、バスケ部のユニフォームの上からジャージをひっかけていた。
「そうじゃなくて、そのマスク、なんで?」
美門くんは首を傾げる。
「別に、普通でしょ。皆、よくかけてるじゃん」
そうだよね。
美門くんもマスクくらいするでしょ。
「このマスクね、小塚が作ってくれたんだ」
小塚くんはたしか、美門くんのお友達だ。
私は転校してきてからまだ少ししか経っていないけど、美門くんとは結構仲が良かった。
よく話すし、下校を一緒にすることもある。
だから、お互いの世界の登場人物はだいたい把握しあっていた。
「ほら、俺さ。」
美門くんはマスクを外し、片手で親指で、鼻の先をクイッとこすった。
「これだろ。」
これというのは、異常に嗅覚が鋭いこと。
「これ、特殊マスクだから。エアコンなんかのフィルターに使われている活性炭を繊維化したものだって。このマスクをかけていると、俺でも、普通の人間くらいの嗅覚になれるんだ」
私はびっくり。
小塚くんってすごい!
「超・便利だから、これから愛用するつもり」
私てっきり、風邪でも引いたのかと思ってた。
「ところでKZだけど、最近、集合かかった?」
彩ちゃんが首を横に振ると、美門くんはほっとしたように胸に手を当てた。
KZというのは、彩ちゃん含め5人で活動している探偵チームのこと。
美門くんも入りたいんだけど、まだ入れていないみたい。
「よかった。俺だけオミットされてるのかと思ったよ」
「もう友達になったでしょ」
「でも、KZメンバーに入れてもらえるかどうかは、また別のことだろ。集合がかかって、俺に連絡がなかったら、入れて貰えないってことだと思ってる」
美門くんはキッパリ言った。
「そうなったら、立花、俺がKZに入れるようにサポートしてくれない?」
「できるだけのことはするつもりでいるけど、でもKZの決定は多数決だから、私だけじゃなくて他のメンバーにもアピールしといた方がいいよ。」
結構ちゃんとした集団なんだ。
美門くんは、ちょっと眉を下げた。
「わかった。しとく。」
微笑んで、彩ちゃんの机から離れていく。
248人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アーヤ(プロフ) - 住滝良さんのと、少し文が違って「ここ、本文あれだったよなw」って楽しいです! (5月11日 21時) (レス) @page47 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
アーヤ(プロフ) - すごく面白いです!このまま、ストーリ続けてください。(あれ、完結してたっけ?)少しだけわがまま言うと、kzの皆は彩の親友(恋人?)ダァーッ! (5月11日 21時) (レス) @page37 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜@ひなた - 面白すぎです!私はアーヤと若武推しです! (2023年2月12日 10時) (レス) id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - まこさん» ありがとうございます!!黒木くんかっこいいですよね! (2020年10月30日 23時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく面白いです! 私も黒木くん推しです! 更新待ってます! (2020年10月30日 17時) (レス) id: e335c0e9f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:澪 | 作成日時:2020年3月13日 20時