第46話『頑張っている美門』 ページ47
杏奈side
「でも車で帰った方がいい」
黒木くんが慎重な態度のまま言う。
「小塚がまだ家族に連絡が取れていないんだったら、誰かが付き添ってタクシーで帰そう。連絡が取れれば、迎えに来てもらえばいい」
若武くんが頷く。
「様子見てくる」
カーテンをくぐって出ていく姿を見送ると、美門くんがため息をついた。
「みんなに時間使わせちゃって、悪かったよ。明日からちゃんと練習して、予選には間に合わせるから」
黒木くんが壁によりかかり、腕を組んでこっちを見た。
「無理すんな。今週はサッカーチームKZの試合が2つもあったしさ。疲れてんだよ。でもメンバーみんな、驚いてたぜ。KZのトップ下に入るの初めてなのに、よくやったって」
上杉くんが頷く。
「初戦で2ゴールも決めたんだから、すごいよ」
すごいなぁ・・・!
でも、美門くんは何でも一生懸命で無理しすぎることとかあるし、今日みたいに倒れられたらやっぱり心配。
あんまり自分を追い込まないでほしい。
ほんとにすっごく怖かったんだから。
少し不満そうなのが顔に出てしまったのか、上杉くんが私を見てふっと笑う。
「あんまり無理すると、今日みたいに神崎に心配かけるからやめとけよ。お前が倒れて一番心配してたの、神崎だからな」
それを聞いて、美門くんは若干目を見開いてこちらを見る。
私は恥ずかしくて、少し頬を赤くして俯く。
「だって、いきなり倒れちゃうから・・・。心配だったんだもん。・・・友達だし」
私がそう言うと、美門くんはクスッと笑って私に手を伸ばし、宙ぶらりんになっている私の手を少しだけ握った。
「ごめん。気をつけるから、泣きそうな顔しないでよ」
泣きそうじゃない!
「一番パニックになってたのも神崎だったな」
「そうだな」
上杉くんと黒木くんがからかうような笑みを私に向ける。
この人たちは・・・。
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アーヤ(プロフ) - 住滝良さんのと、少し文が違って「ここ、本文あれだったよなw」って楽しいです! (5月11日 21時) (レス) @page47 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
アーヤ(プロフ) - すごく面白いです!このまま、ストーリ続けてください。(あれ、完結してたっけ?)少しだけわがまま言うと、kzの皆は彩の親友(恋人?)ダァーッ! (5月11日 21時) (レス) @page37 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜@ひなた - 面白すぎです!私はアーヤと若武推しです! (2023年2月12日 10時) (レス) id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - まこさん» ありがとうございます!!黒木くんかっこいいですよね! (2020年10月30日 23時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく面白いです! 私も黒木くん推しです! 更新待ってます! (2020年10月30日 17時) (レス) id: e335c0e9f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年3月13日 20時