第12話『宣戦布告』 ページ13
杏奈side
これはやってしまったと思った。
たぶん、彩ちゃんも計算が狂ったんだろう。
少し戸惑っている。
でも、美門くんなら何とかしてくれる気がした。
丸く収めてくれますように。
「大した話じゃないよ」
そう言いながら、美門くんは気にしていたスマホをポケットに入れ、マスクをつまんでしっかりと顔にかけ直した。
「今、立花さんと神崎が話した通りだから、それでいいでしょ」
それだけで終わればよかったんだけど、なんと美門くんは言葉を続けた。
「でも人の話に首を突っ込むって、あんまりいい趣味じゃないぜ」
私はぎょっとした。
だって喧嘩をふっかけるようなセリフだもん。
ハラハラしながら見ていると美門くんは、大きなマスクの上から出ているその綺麗な目をふっと細めた。
「誰と何を話していたって、いいんじゃない。ほっといてほしいな」
これで完全に宣戦布告状態に突入。
真理子ちゃんは目がつり上がって見えるほど怒って、怒鳴り声を上げた。
「おい美門、いい気になるなよ。そのマスク、校門待ちしてる女子に対する嫌がらせか。ちょっとモテはやされたからって、図に乗ってんじゃねえよ。『学校裏サイト』で、たたいてやるからな」
そんなの酷い。だって、美門くんは悪くないもの。
「真理子ちゃんっ・・・!」
「口出すなよ杏奈。今私はツバサと話してんだ」
そうだけれども・・・。
真理子ちゃんは再び美門くんに目を向ける。
「それが嫌だったら」
真理子ちゃんはそう言ってちょっと笑った。
「今、その机の上に乗って、正座して謝りな。
マスク、外してだよ。」
なんで美門くんが謝るの?
私の頭はハテナで埋め尽くされる。
翼は少し考えてから、ゆっくりとマスクを外して、机に上った。
美門くんは机の上に立ったまま、片膝をついた。
そして片手を胸に当て、もう一方の手を上げたんだ。
その手をゆっくりと斜めにおろしながら優雅に頭を下げ、まるで貴公子の会釈のように美しい素振りを見せてこういった。
「裏サイトでもなんでも、どうぞお好きなように、ブタ姫様」
見ていたクラスメートたちがどっと笑い、真理子ちゃんは怒りのあまり顔を真っ赤になっていた。
ブタ姫様は・・・ちょっと酷いんじゃ・・・。
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アーヤ(プロフ) - 住滝良さんのと、少し文が違って「ここ、本文あれだったよなw」って楽しいです! (5月11日 21時) (レス) @page47 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
アーヤ(プロフ) - すごく面白いです!このまま、ストーリ続けてください。(あれ、完結してたっけ?)少しだけわがまま言うと、kzの皆は彩の親友(恋人?)ダァーッ! (5月11日 21時) (レス) @page37 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜@ひなた - 面白すぎです!私はアーヤと若武推しです! (2023年2月12日 10時) (レス) id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - まこさん» ありがとうございます!!黒木くんかっこいいですよね! (2020年10月30日 23時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく面白いです! 私も黒木くん推しです! 更新待ってます! (2020年10月30日 17時) (レス) id: e335c0e9f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年3月13日 20時