第57話『どうしよう』 ページ10
杏奈side
「危険だよ」
小塚くんが止めたけれど、若武くんはクセのない髪を片手でかきあげながら頑として言い募った。
「危険を排除すればいい。黒木、防護服を用意してよ。俺の分だけでいいからさ」
一人でやる気なの?
そんなの危ない。
私は心配で眉を下げる。
「いいよ。いつまでに?」
黒木くんに聞かれ、若武くんが口を開こうとしていると、小塚くんがあわてて遮った。
「さっき国立感染症研究所に連絡したから、きっと調査が入ると思う。美門は今日、検査を受けるはずだから、結果が出るのは二日後だ。試薬でウイルスの遺伝子の一部をコピーして増やした後でないと判定出来ないから、時間がかかるんだ。それで感染がはっきりすれば、すぐに現場の調査が始まる。多分月曜日からここは立ち入り禁止になるよ」
若武くんが危ないことをしないでいいのは安心するけど、それって探偵チームKZが活躍できないってことだよね?
それはそれで嫌だな。
「上等じゃん」
若武くんが、不敵な感じのする笑みを浮かべた。
「俺は、国家機関により先に動くぜ。黒木、明日までに頼む。明日の日曜、秀明が終わったあと、ここに持ってきてくれればいい」
上杉くんの腕の時計が鳴り出し、秀明に行く時間を告げる。
皆が一瞬気を取られ、若武くんがリーダーとして最後を締めくくった。
「今回の事件の役割分担を発表する。アーヤと上杉は、美門の家のメイドさんを通じてM&Mと連絡を取り、パターンから衣装を作ってもらうこと。黒木は防護服の調達と曲の仕上げ及び東西関東建設の調査。小塚は採集したマダニと猫を国立感染症研究所に持っていくこと。それが終わったら黒木の補佐。俺は庭の調節とダンスの練習だ。」
若武くんが私に目を向ける。
「神崎には仮入団として今回の事件を手伝ってもらう。曲の方はほとんど神崎に任せた。黒木と小塚はそれぞれやることがあるから、八割くらいは神崎がやってくれ」
うっ・・・。
「とりあえず明日、秀明の後でここに集合すること。以上、解散っ!」
ちょっと待って。
それはかなりピンチ。
みんながそれぞれ秀明バッグを持ってM&Mを出ようとしている中、私は放心状態だった。
ほんとに私音楽が得意なわけじゃないんだって。
耳がいいだけなのほんとに。
「神崎、どうした」
肩を叩かれ振り返ると、上杉くんが自分の秀明バッグと私の秀明バッグを手に持っていた。
持ってきてくれたんだ。
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桜@ひなた - 落ちは、翼がいいと思います! (2023年2月19日 18時) (レス) @page4 id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - オチは、翼か黒木くんがいいです!推しなので・・ (2022年2月27日 8時) (レス) @page3 id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - オチは翼がいいです!! (2021年3月19日 12時) (レス) id: 1bc28cf27b (このIDを非表示/違反報告)
マカロンY - 320526 オチは翼 (2021年3月4日 21時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
bigaru(プロフ) - 落ちは翼希望です!翼落ちのお話が少ないので・・・ (2020年7月29日 19時) (レス) id: 4e79474d44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年6月17日 0時