笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ11)

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第58話『私に出来ること』ページ11

杏奈side

私は上杉くんから秀明バッグを受け取ると、ニコッと何事もないように笑う。

「なんでもないよ！ありがとう。」

心配かけたらダメだ。

みんなはもっと大変なんだから、私だけ弱音を吐いてたらいけない。

これも入団テストと思って頑張らないと。

上杉くんはフっと笑う。

「無理してんのバレバレ。顔に出てたぜ」

私は自分の顔にそっと触れる。

そんな顔に出てた？恥ずかしい。

「まだ出会ったばっかで若武には慣れないと思うし、無理だったら『無理』って言っていいからな。俺だってそうするし」

上杉君が励まそうとしてくれているのが伝わってくる。

「私、この前もほとんど黒木くんと小塚くんに任せてたから、今度は私も力になりたいの」

私はこれと言って得意なことがないから、ここにいてもみんなに迷惑をかけるだけかもしれない。

でも、そんな自分は嫌だし、何より、困ってるなら力になりたい。

「こうして皆と話していくうちに、このチームは本当に素敵だなって思ったよ。個性的でバラバラな人達が集まって、何かに夢中になって取り組んでいて、ほんとに憧れる。だから私も、そんな人達が頼ってくれてるなら、全力で力になりたいの。」

私がそう言うと、上杉くんは一瞬驚いた顔をしてから、スマホを出した。

「まだ連絡先交換してなかったよな」

してないね。

「QR出して。読み取るから」

そう言われ、私はあわててスマホを出してQRコードを上杉くんに見せる。

上杉くんがQRコードを読み取ると、お互いの連絡先が交換できた。

「何か困ったことあったら、相談できることならしてこいよ。極力協力するから」

私はニッコリ。

「上杉君、優しいよね」

見た目とか口調とかで誤解されやすいけど、やっぱり優しい人なんだ。

「ありがとう。すごく心強いよ」

「ま、神崎には神崎にしかできないことがあると思うし、ゆっくりやっていけばいいだろ。ほら、早く行くぞ」

エレベーターの前でみんなが待っていて、私たちは小走りでみんなに駆け寄った。