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第17話『夢物語』 ページ50

杏奈side


秀明にて、休み時間になると、私はカフェテリアに向かった。

黒木くん以外のみんなはもう来ていて、隅の目立たないテーブルに座っていた。

「ごめんね、遅くなって」

私はみんなに駆け寄って席につく。

「黒木くんは?」

私が聞くと、小塚くんが口を開く。

「調べものがあるらしくて、秀明休んでるから、もうちょっとでこっち着くって」

調べもの?

「我が親愛なるKZメンバーの諸君」

若武くんが立ち上がって私たちを見回した。

「我々が昨日、本物の強盗と接近遭遇したことは、もうわかっていると思う。本物だぜ、本物。しかも被害額は、10億円。これは我がKZ史上、最大の盗難事件だ。そうだよな、記録係」

彩ちゃんはKZ事件ノートをめくる。

「確認したところ、その通りです」

若武くんは満足したように頷き、みんなを見回した。

「すごい窃盗だ。だが、それよりもっとすごいことがある。それは、我々に、この犯人を捕まえるチャンスが与えられているということだ。遺留品の赤い仮面は、我々の手にある。それを分析して追っていけば、絶対に捕まえられるはずだ。あの時、顔も見てるんだし。今度こそ我々KZは、日本中の注目を浴びるんだ」

おお・・・!

「電話やメール殺到するぜ。マスコミ対策室を作って対応しないと」

すごい夢がでかい・・・。

「これは、もしかして我々の運命なのかもしれない」

はぁ・・・。

「なぜって俺達は、砂原に雇ってもらおうと思っていたところだからだ。資本金5億の会社なら、絶対マスコミ対策室がある。そこで、KZに来た取材申し込みを整理してもらえばいい」

翔が私たちを雇ってくれればの話だけどね。

「砂原が成功したこと、そして俺たちが犯人に出くわしたこと、この二つに、俺は運命的なものを感じる。両方とも、神が、我々KZにスポットライトが当たるようにしてくれているのに違いない」

だったらいいねぇ。

「いい加減にしろ」

上杉くんがテーブルを叩いて立ち上がる。

「昨日も言ったが、俺は美門と神崎を襲った犯人捜しなら、やる。会社をスタートさせた砂原にも協力する。だが黒ルビー窃盗には興味が無いし、それに使う時間もねぇ。遺留品の赤い仮面は、警察にくれてやれよ」

若武くんはキッパリと首を横に振った。

「それは、お宝を溝に捨てろと言っているようなものだ。出題ミスでもらえることになった点数を、拒否しろと言ってんのと同じことだぜ」

この小説の続きへ→←第16話『事件、発生』



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桜@ひなた - 落ちは、翼がいいと思います! (2023年2月19日 18時) (レス) @page4 id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - オチは、翼か黒木くんがいいです!推しなので・・ (2022年2月27日 8時) (レス) @page3 id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - オチは翼がいいです!! (2021年3月19日 12時) (レス) id: 1bc28cf27b (このIDを非表示/違反報告)
マカロンY - 320526 オチは翼 (2021年3月4日 21時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
bigaru(プロフ) - 落ちは翼希望です!翼落ちのお話が少ないので・・・ (2020年7月29日 19時) (レス) id: 4e79474d44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年6月17日 0時

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