笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】

第16話『事件、発生』 ページ49

杏奈side


翌朝。

私は若武くんに驚かされることになった。

いつものように起きて、リビングに行くと、朝のニュースがテレビで入っていた。

「昨夜、新玉駅前にある宝飾品店ハリー・ウィンソルの新玉駅店前で、宝飾品が盗まれました」

ハリー・ウィンソルは、秀明のすぐ裏手。

「襲われたのは、昨夜11時頃と見られています」

その時間は、私たちが秀明を出た時間だった。

「盗難品の入っていたショーケースの近くの防犯カメラには、赤い仮面をかぶった2人の男が映っており、警察では現在、この男たちの行方を追っています」

私は目を見開く。

昨日の夜彩ちゃんにぶつかったあの人達、犯人だったんだ。

「持ち去られた宝飾品は、ハリー・ウィンソルの看板として長くNY本店のウィンドを飾ってきた黒いルビー『ブラック・メアリー』とのことです」

ブラック・メアリー・・・。

「この黒ルビーは、130・5カラットあり、展示会のために、NY本店から新玉駅前店に移されたばかりでした。被害額は、10億円に上る模様」

ほんとに若武くんが言った通り、大事件だった・・・。

私がポカンとしていると、携帯電話が鳴る。

慌てて出ると、小塚くんからだった。

「若武が、今日、休み時間にカフェテリア集合だって」

連絡早いなぁ。

私はちょっと笑う。

「若武くんって、予知能力とかあるのかな」

電話越しに、くすくすと小塚くんの笑い声が聞こえる。

「どうかな。野生の勘ってやつなのかもね」

たしかに、若武くんって結構野性的かも。

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