第52話『ちょっと嫌だな』 ページ5
杏奈side
先にM&Mに彩ちゃんと小塚くんは来ていた。
「やっと確保したよ」
「試合で、点入れる方が楽だったな」
「ピッチは、真っ平らだからね」
すると、小塚くんが切羽詰まった声を上げた。
「その猫は危険だ。体から離して。ああ下に置かないで、持ったままで」
え?
若武くんはきょとんとする。
「何だよ」
隣で上杉くんも首を傾げる。
「猫からの感染は、ないって話だったんじゃね?」
小塚くんは答える余裕もないようで、素早く辺りを見回すと、作り付けの棚に置かれていた空箱をつかんで床に下ろし、自分の秀明バッグからガムテープを出した。
テープで箱の四隅を補強し、蓋を開けながら私を見た。
「猫を、ここに」
私は言われた通りにそこに猫を入れる。
小塚くんは素早く蓋を閉め、出てこられないように外からテープを貼る。
なんか、可哀想・・・。
「よし、これで1つ解決。次は」
そう言いながら、私たちを見回した。
「全員、奥のシャワーブースに行って、シャワーを浴びて、4人でお互いの体を点検して、小さな傷や、噛まれた跡がないかどうか確認すること。もしそれがあったら、手を触れずに僕を呼ぶこと。今、着ている服は、ブースの中で脱いで、そのままにしておくこと」
え。それって、私も3人と一緒にシャワーを浴びろってこと?
「説明は後でするから、とにかく言う通りにして。早く」
その勢いに、私たちは何も言えなかった。
私たちはシャワーブースに4人で向かった。
黒木くんが私に目を向ける。
「ごめん神崎。ここは小塚の言うことに従っておいた方がいいと思うから、嫌かもだけど言うこと聞いてね」
別にいいけど・・・。
黒木くんがシャワーの蛇口をひねり、お湯を出す。
私は服の上からシャワーを浴びる。
みんなびしょびしょになって、服が張り付いて気持ち悪い。
若武くんと上杉くんは、濡れている私を見て顔を赤くすると、思いっきりそっぽを向いた。
ピュアボーイ・・・。
「ごめんね。黒木くんに点検お願いしてもいいかな?服、脱いだ方がいいよね」
「ああ。下着はいいから、服は頼む。極力見ないようにするけど、先に謝るよ。ごめん」
私はトップスを脱ぐ。
「全然大丈夫だよ。小塚くんなんか切羽詰まってたし、危ないことだったらやだもん。お願いします」
まあ、ちょっと嫌だけど。
その言葉は胸にしまって、私は黒木くんに体を点検してもらった。
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桜@ひなた - 落ちは、翼がいいと思います! (2023年2月19日 18時) (レス) @page4 id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - オチは、翼か黒木くんがいいです!推しなので・・ (2022年2月27日 8時) (レス) @page3 id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - オチは翼がいいです!! (2021年3月19日 12時) (レス) id: 1bc28cf27b (このIDを非表示/違反報告)
マカロンY - 320526 オチは翼 (2021年3月4日 21時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
bigaru(プロフ) - 落ちは翼希望です!翼落ちのお話が少ないので・・・ (2020年7月29日 19時) (レス) id: 4e79474d44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年6月17日 0時