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第69話『悪いと思ってる』 ページ22

杏奈side


長いまつ毛に、白くて透明感のある肌。

綺麗な形をした唇は少しだけ開いていて、そこから寝息が漏れている。

ほんとにかっこいいなぁ。

私はそっと上杉くんの髪に触れる。

もっと警戒心の強い人かと思ってたら、意外と無防備だな。

普段はクールで女嫌いなイメージがあるけど、意外とピュアで優しくて繊細。

上杉くんって、将来悪い女の人とかに目つけられそうなタイプかも。



『こんなことで嫌いになるわけないだろ』



ほんと、優しすぎる。

まだ知り合ってまもない私の力になりたいと言ってくれた。

私はあなたに優しくされていいような、素晴らしい人間なんかじゃないのに。

「今日、からかってごめんなさい」

上杉くんがあまりにも面白い反応をするものだから、つい。

「私、上杉くんのこと好きだよ」

私は上杉くんの頬を軽く人差し指でつついてから、彩ちゃんの元に行った。

若武くんたちを見てみると、ちょうど作業を終えていた。

「終わったの?」

「うん。なにか見つけたみたい」

2人は戻ってくるなり、すぐにシャワーを浴びに行った。

その間に、テーブルの上で眠っていた上杉くんが目を覚ました。

「え、終わったの?」

「今終わったよ。」

私がそう答えると、上杉くんは軽くあくびをしてから、私に目を向けた。

なんだろ。

私は上杉くんを見つめ返す。

「何?」

私がそう聞くと、上杉くんはふっと笑い、中指でメガネの中心を押し上げた。

「なんでも」

はっきりしない返答に不満を思えながらも、それ以上は何も聞かなかった。

「待たせたな」

若武くんと黒木くんが、シャワーブースから出てくる。

「結論から先に言うと、俺達が庭で見つけたのは直径7センチ位の穴だ」

穴?

「そこにプラスチックの蓋を被せてコンクールで接着してあった。取れないように、だ」

へぇ。

「で、その蓋を壊してみたら、中は塩化ビニールの管で、10センチくらい立ち上がって、その向こうは横に続いていることがわかった。それが三ヶ所ある。どこまで続いているのかは、不明」

はぁ・・・。

「まだ新しい管で、臭いがきつい。美門が気づいた2つ目の匂いっていうのは、この管の匂いだ。あの猫は、この管の反対側の口から迷い込んできた。だから体にその匂いが付いてたんだ」

なるほど。

「この管は、さっき黒木が言ってたスリーブ。電線や電話線を通すために、コンクリの中に埋め込んでおく管だ」

第70話『理解』→←第68話『頑張る』



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桜@ひなた - 落ちは、翼がいいと思います! (2023年2月19日 18時) (レス) @page4 id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - オチは、翼か黒木くんがいいです!推しなので・・ (2022年2月27日 8時) (レス) @page3 id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - オチは翼がいいです!! (2021年3月19日 12時) (レス) id: 1bc28cf27b (このIDを非表示/違反報告)
マカロンY - 320526 オチは翼 (2021年3月4日 21時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
bigaru(プロフ) - 落ちは翼希望です!翼落ちのお話が少ないので・・・ (2020年7月29日 19時) (レス) id: 4e79474d44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年6月17日 0時

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