警察庁の降谷さんは今日も当たりが強い！【降谷零】 (ページ8)

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八話-1 ページ8

「ご苦労」

やっとのことでファイルを片付けてゼイゼイ言っている私を見て降谷零が若干ばかにしたような顔をする。

こいつ、よくも私をこき使ったな……！

不満を口にしようとするものの、息が切れて声が出ない。

代わりに目で訴える。

一瞬目が合ったものの、降谷零はそれに気付かないふりをしておもむろに椅子から立ち上がり、風見さんのもとへ行く。

む、無視したよこの人……！

やっぱり態度とげとげしいって！

ムッとしつつも、少し休憩するためにさっきまで降谷零が座っていた椅子に座り、目の前のパソコンを見る。

さっきから何を見てたのかな。

そこに映っていたのは、お台場埠頭の地図と監視カメラの映像。

これってもしかして……。

画面を食い入るように見つめていると。

「何か気になる部分でもあったか」

「うわあ！！」

急に後ろから話しかけられて飛び上がった。

今、本当に気配しなかったよこの人。

「降谷サン……急に驚かさないでくださいよ……」

風見さんと話していた降谷零が背後に立っている。

驚きの余韻で心臓がバクバク状態。

心臓発作で殺す気か……？

「ああ悪い。それよりさっきからずっとそれを見ていたが、何か気になることでもあったか」

心臓の動悸を「ああ悪い」で片付けられたのが釈然としないが、一旦それは置いておいて。

「さっきから地図と監視カメラに違和感を感じるんですよ」

「違和感？どういうことだ」

降谷零も画面に顔を近づける。

「この６台の監視カメラの映像って公安の人が設置したものですか」

「いや。普通の民間輸送会社の映像をさっきハッキンｇ……拝借したものだ」

今、違法なワードが出た気がするんだけど。

まあ、警察庁の人間だもんな～。

私の視線を誤魔化すかのように咳払いをして「それがどうかしたのか」と言う。

「この映像の入手方法の真偽は分かりませんが、今映っているこの監視カメラ映像。死角となる部分が出来ています」

「何？」

私の言葉を聞いた途端、顔色が変わる。

そう。監視カメラ映像は一見すると埠頭のこのエリアの全箇所を映しているように思える。

しかし、地図と照らし合わせてみると明らかに映っていない場所があるのだ。

「この海域と道路……」

「はい。このタイプの監視カメラはネットから監視する方向を調整できる優れものです。しかし……」

「ハッキングで死角を意図的に作ったと」