警察庁の降谷さんは今日も当たりが強い！【降谷零】 (ページ5)

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五話ページ5

「一体何なんですかね、あの人は」

イライラしながら良い革張りのソファに寝転がり、仰向けで書類を確認する。

「彼は相変わらずか」

苦笑しながらコーヒーを持ってくれるのは、ダンディで大人の余裕がある赤井さん。

そう、ここは赤井さんが日本での捜査の拠点にしている工藤邸。

どうやら黒ずくめの組織の事件に残党が残っているらしく、組織が解散してからもここを拠点に捜査しているそうだ。

あの後私は数時間にも渡って正座状態で説教され、明日から任務に取り掛かるために数十ページにも及ぶ報告書に目を通されるように言われたのだが、それに我慢がならずに愚痴を聞いてもらうために赤井さんに連絡を取ったのだ。

いや日本に来たその日に説教なんて普通する！？

しかも他の組織の捜査官に対して！

「あの上司の下で風見さんよくやってるな～と思いますよ、本当に。めっちゃ無茶振りしてくるそうですから」

風見さんに手渡された書類の中には始末書として、降谷零の捜査で破損したガードレール、愛車であるらしいRX-7のフロントガラス、それからお台場を走るゆりかもめの側面部の写真、その他諸々……。

逆に何をしたらこんなに破壊できるのか。やりたい放題じゃないか。

よくこれで今まで生き残ってるなあ。

マジでゴリラ並みの生命力。

「仕方ないですよ。降谷さん、前に恋人いるのか聞いたら

『僕の恋人は……この国さ』

って緊急時に言ったぐらいなんですから」

苦笑しながら会話に工藤新一君が混じってきた。

彼は今は大学生で、探偵の仕事もしているらしい。

何でも、黒ずくめの組織の事件を解決に導いたのも彼の功績によるものが多いと聞く。

「あの人は公安でしょ。あそこの人は家族や恋人よりも国益を優先する人達だから仕方がないのかもね」

「でもなーんか他の人よりも態度がとげとげしいというか？そんな感じがするのよね。まさか赤井さんに来日したその日に連絡すると思ってなかったし」

「俺もまさか連絡が来ると思ってはいなかったが……まあ降谷君のその態度は半分俺のせいなのかもな」

どうやら黒ずくめの組織の事件の捜査中に降谷零といざこざがあったようだ。

人が亡くなっている、とはいえ。

「めっちゃ私情挟んでません？」

「彼はそういう男だ。仕方がない」

半分憐れみの目で二人に見られる。

それはこれからの怒涛の日々を暗示しているように見えた。