三十一話 ページ37
「くっそ〜、お前ら何者だ!?」
降谷零に後ろ手に縛られた男が喚く。
ビルの中にいくつか残っていた盗聴器と監視カメラを壊した後、男に向き直る。
日本語を話しているものの、少し訛りが入っている。
「あなた外国人?」
「へっ、答えてやる義理はねぇな」
男はニヤニヤと笑みを浮かべる。
「ここで何をしていたの?」
「あ?別に何もしてねぇけど〜?それより姉ちゃんこれ解いてくれよ〜、俺と一緒にどっか行かねぇか?」
どうやらこちらの質問に答える気は無いようね。
てかセクハラジジイ率高くない!?
この状況で何を言ってるんだ、と呆れていると。
「立場が分かってないようだな」
降谷零が男に歩み寄り、拳銃を取り出す。
その声色から殺気を感じてこちらまでギョッとする。
「お前、何を……」
「別に今ここであなたの脳天をぶちまけてもいいんですよ、こちらとしてはね。どうやらこのビルには色々と証拠が残っていそうですし?」
降谷零が男に拳銃を向ける。
「ちょ、ちょちょちょっと待て……」
「さぁ、どうします?10数えるのでその間に自分の命運を決めてください」
「わかった、わかったから……!」
男は降谷零の剣幕に怯み、大人しくなった。
全く、小心者のようね。
答えてくれるようで良かったけど、降谷零の様子がいつもの姿とは違ったような……。
「何だ?」
私の視線に気づいたのか降谷零がこちらを見る。
「な、何でもないです!」
気のせいだよね、多分。
切り替えなきゃ。
男に尋問するとペラペラと情報を吐いた。
どうやらここのビルは密輸組織が使っていたそうで、お台場での取引にも役立ててたらしい。
まぁその取引が失敗したからここを捨てたみたいだけどね。
全世界で幅広く武器を扱っている組織だというものの。
「俺は下っ端だからな……。それ以外は本当にわからないんだ、信じてくれ!」
「じゃあ、今日はなぜここにいたんです?」
「単なる忘れ物だ。全く……いつまでもこんな感じだから下っ端のままなんだろうな」
男は自嘲気味に言って溜息をつくと、何かを思い出したように顔を上げる。
「そういえば次の取引場所について幹部が話してたような……」
「どこです、そこは?」
「そこは……」
男が言った場所に降谷零と顔を見合わせた。
329人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小夜時雨(プロフ) - 二十八話と二十七話アップする順番間違えちゃいました……(__)その前から読んでいただければ楽しんでいただけるかと(^^) (2021年4月1日 0時) (レス) id: f0aebf3cd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小夜時雨 | 作成日時:2021年3月7日 11時