警察庁の降谷さんは今日も当たりが強い！【降谷零】 (ページ32)

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二十六話ページ32

これは……いたたまれない。

ラーメン屋に入ると、ふわっといい匂いが漂った。

豚骨のような強い臭いもしない。

それは問題ない、問題ないのだが……。

「醬油ラーメン二つで」

問題は私の隣の席で注文をする降谷零

……に見惚れている店中の女性達。

「ちょっと、あの人めっちゃイケメンじゃない！？」

「外国人かな？」

「話しかけてみようよ！」

はい、知ってましたこの状況～。

「それより隣の女誰？」

「カレカノ……っぽくはないし」

「羨ましい……てか席代われ」

店中の女性の視線を集める降谷零。

それに反して店中の女性から嫉妬の視線を受ける私。

居心地悪いな～！

おまけに。

「箸の持ち方は知ってるか？持ち方は……」

と言って私の手の上から手を被せるようにして箸の動きを教えてくれる。

久しぶりに箸を持ったから有難い、有難いんだけど降谷さん……！

めっちゃ火に油を注いでます……！

女性からの鋭い視線を受けながら溜息混じりにお礼を言った時、「へいお待ち！」と目の前に醬油ラーメンが置かれる。

その美味しそうな匂いに一瞬女性からの視線を忘れて、美味しそう……と呟く。

「はは、お姉ちゃんもしかしてラーメンは初めてかい？」

声のした方を見上げると、店主が見下ろす形で私に話しかけていた。

「ええ、実はそうなんです」

何で分かったんだろう？

「やっぱりな。お姉ちゃんの顔の骨格は日本人に近いがどこか外国人の血が混じっている感じがしたし、何よりラーメンの店に不慣れな感じがしたからな」

ニカッと笑う店主を見て、先程までの居心地の悪さは霧散した。

「大正解！おじさん、名探偵みたいですね！」

「ガハハ、何十年もここでラーメン屋やってると外国のお客人も相手するしな。人相を見るのは得意だと思うぞ～」

取り敢えず食べてみなという声に、箸をつける。

「ん！めっちゃ美味しい～」

汁と麺が良く絡んでる。

すると今度は降谷零が店主に話しかける。

「コクがあって美味しいですね」

「ああ、うちは万人受けする鶏出汁を使っているからな。スパイスには生姜を……」

降谷零は店主と話に花を咲かせ、私は初めて食べたラーメンに夢中になった。