二十五話-2 ページ31
「まさか、ここから漁船でお台場まで行ったということですか?」
私の言葉に頷く降谷零。
「まだ可能性の段階だがな。沿岸を航行すれば不可能じゃない。犯罪である以上目立たないようにする必要がある」
「その点で外国人が多いこの町は……」
「ああ、奴らにとって溶け込みやすいだろうな。ここは東京湾の玄関口。何か問題があれば逃げることは容易いだろう」
「じゃあ、彼らはもうここには……」
「いないだろうな。我々が取引を台無しにしてしまったのだから」
その言葉に悔しさが込み上げてきて唇を噛む。
人を傷つける銃器を売り買いする人間。
市民の安全を守る者としては許すことなどできないというのに。
わなわなと怒りで身体を震わせると、降谷零が諭すように言う。
「落ち着け。可能性の段階ではあるが尻尾を出さない組織の手がかりが得られるかもしれないんだ。取り敢えずこの付近で異変が無かったか聞き込みを行うぞ」
「……はい」
そうだ、冷静になれ。
冷静さを欠いたら何事も失敗するでしょ。
深呼吸して心を落ち着ける。
「よし、準備は整ったな。じゃあまずは腹ごしらえも兼ねて地元の食堂にでも行こう」
「食堂、ですか?」
「ああ。そこだったら地元の人が多く集まっているはずだからな。食べたいものはあるか?」
「食べたいもの……」
そういえばこっちに来てからまともに日本の料理食べてないな。
色々思い浮かべるけれど、何より食べてみたいのは……。
「ラーメンというものを食べてみたいです」
「ラーメン?」
私の言葉に降谷零が目を丸くさせる。
「本土での友達がマジめっちゃ上手いよ!って言っていたのは聞いたんですけど、地味に試したことなかったんですよね」
どんな味がするのか気になります!と言うと、降谷零が吹き出して笑う。
「ふはっ……まさかラーメンが出てくるとは。わかった、じゃあそれにしよう」
「何で笑うんですか」
「いや、何でもない」
そう言われると逆に気になるんですけど〜?
「じゃあ僕が君に日本の素晴らしい食文化を教えてあげようじゃないか」
そう言って降谷零は自分のスマホを取り出した。
329人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小夜時雨(プロフ) - 二十八話と二十七話アップする順番間違えちゃいました……(__)その前から読んでいただければ楽しんでいただけるかと(^^) (2021年4月1日 0時) (レス) id: f0aebf3cd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:小夜時雨 | 作成日時:2021年3月7日 11時