二十三話-2 ページ28
へぇ〜、そんなことになってたんだ。
もしかして今まで度々居なかったのもここに来てたこともあったからなのかな。
「彼、ここに来て長いんですか?」
「そうですね、かれこれ数年……」
「何を話しているんですかー?」
げ。
女性店員さんの言葉を遮るように降谷零が話に割り込んでくる。
「安室さん!」
「梓さんはまだ休憩中なんですから奥で休んでてください。注文は僕が取りますから」
「えー……わかりましたよ〜。炎上させられないようにさっさと退散しますよーっと」
女性店員さんが立ち去って降谷零が目の前に立ちはだかる。
いや、こっち来たのわざとらしくない!?
「ご注文は?」
しかもなんか声にとげが入ってる気がするし!
JKへの対応と違うって!
「えーっと、じゃあミルクティーで」
「ほぉー、アメリカンコーヒーじゃないんですね」
ちょっと!周りに正体勘付かれるでしょ!
てか頼むなら何でもいいじゃん!
「えっと……安室さん?何か言いたいことでも?」
「僕はただ単に当店のおすすめを紹介しただけですよ」
いけしゃあしゃあと良くもまぁ口の回ること。
「あ、床にこんなものが」
「え?」
床にかがむ降谷零が何かを拾うような仕草をして私に小さな紙を手渡す。
書類についての伝言かな?
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ、それでは少々お待ちください」
形だけの笑顔を向けられて雰囲気で気付かれるんじゃないかと内心呆れつつも、紙を開いて読む。
『食器を片付ける時に回収する』
了解ですと顔を上げて降谷零に目配せしてゆったりと座る。
それにしてもまさかこんなところで働いていたとはね。
店内を見回すと若い子だけでなく休憩中のサラリーマンなどもいて、客層の幅は広そう。
でもあむぴって笑。
いつも口煩いクソ上司が、こんなところで若い子たちにキャーキャー言われてるとか。
想像しただけで笑える。笑
「何を笑っているんです?」
「げ」
いつの間にか降谷零が目の前にいた。
手元には私が頼んだミルクティー。
ヤバ、笑いが顔に出てた?
「お、思い出し笑いです!」
「へぇー……」
すると降谷零が顔を近づけて囁く。
「後で覚えてるんだな」
ヒエ……。
一瞬の真顔が怖い。
「ごゆっくりどうぞ」
にこっとした笑顔すらも恐怖。
どうやら私はまた降谷零を怒らせてしまったみたい。
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小夜時雨(プロフ) - 二十八話と二十七話アップする順番間違えちゃいました……(__)その前から読んでいただければ楽しんでいただけるかと(^^) (2021年4月1日 0時) (レス) id: f0aebf3cd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小夜時雨 | 作成日時:2021年3月7日 11時