二十三話-1 ページ27
工藤邸を出て地図アプリを見ながら歩く。
日本はアメリカと違って狭い道やくねくねした道が多くて迷いそうになる。
こんな時車を運転できれば、ナビが助けてくれるのになー。
「それにしてもこの住所って……」
赤井さんに教えてもらった住所を検索してみると、降谷零に似つかわしくない場所が出てくる。
何でこの場所に?
待ち合わせにしては赤井さんが降谷零の行動を把握しているのが引っかかる。
まるで大抵そこにいるみたいに。
すると歩道の向かい側から女子高生だろうか、制服を着た女の子数人が歩いてくる。
「やっぱりイケメンだったね〜」
「でしょ〜!また行こうよ!」
きゃいきゃいとはしゃぐその声に微笑ましく思いつつも疑惑が段々確信に変わる。
加えてキャメルさんが微妙な顔をしていたのも、もしかして。
「ここか」
扉を開けると、カランカランと心地の良い音がする。
そこにいたのは……。
「いらっしゃいませ」
ああやっぱり。
ポアロと書かれたエプロンを着た降谷零がいた。
しかし本人の雰囲気が全然違う。
いつもの鬼の形相をしている降谷零ではなく完全に近所の爽やかお兄さんとして店に馴染んでいる。
それでもそんな爽やかお兄さんに一名様ですねと笑顔で言われても「何も言うな、聞くな、声を出すな」という圧を感じる。
ギャップ怖っ。
事情は知らないけど取り敢えず黙っておこう。
席に案内されてメニューを持ってこられるものの、いつも口煩い仮上司が同じ空間にいるというだけで全然落ち着けない。
あれ〜?新手のパワハラかな〜?
注文がお決まりでしたらお呼びくださいという言葉にすら敬語の違和感を感じて最早恐怖すら覚える。
メニューを見ながら悶々と悩んでいると。
キャーあむぴ〜!と黄色い声が上がる。
アムピ?なんじゃそりゃ。
声のした方を見ると、女子高校生達が降谷零を見て歓声を上げている。
「今日もイケメンだね!」
「ねぇ、彼女はいるのー?」
なんて、滅茶苦茶絡まれてる。
いつもと全然違う様子に唖然とすると同時に、思わず吹き出しそうになる。
すると女性店員さんが私の方に近づいて「安室さんはJKにモテモテなんですよ〜」とにこやかに教えてくれる。
「安室さん?」
「あの金髪の人ですよ。仕事も料理も手際が良くて。あ、でも彼目当てのJKに炎上させられないかだけが心配なんですけどね〜」
困ったようにその女性店員さんが言う。
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小夜時雨(プロフ) - 二十八話と二十七話アップする順番間違えちゃいました……(__)その前から読んでいただければ楽しんでいただけるかと(^^) (2021年4月1日 0時) (レス) id: f0aebf3cd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小夜時雨 | 作成日時:2021年3月7日 11時