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二十一話 ページ25

ふっと目を覚ますと、見たことのある天井が目に入る。



「あれ、私……?」



むくりと身体を起こしてぼーっとする。



昨日は確か密輸取引の現場を押さえて、それから本庁に戻って赤井さんたちに会って……。



そうか、あの後夜遅くで疲れているからということで一旦解散したんだっけ。



で、赤井さんの愛車のマスタングに乗って……その後は記憶が無い。



赤井さんがこの工藤邸の客室まで運んでくれたのかな。



「って、今何時!?」



いきなり思い立って慌てて近くの時計を見ると、既に12時を指していた。



うわ〜!マジでやらかした!



仕事大遅刻じゃん!



慌てて布団から出ると、昨日のままのスーツと破けたタイツ。



鏡を見るとぼさぼさの髪と崩れたメイク。



「どうしよう!」



と、取り敢えずシャワーを借りなきゃ。



慌てて階下に移動すると、リビングから出てきたジョディさんと鉢合わせる。



「あらA!起きたのね。どうしたの、そんなに慌てて」



「ジョディさん!仕事大遅刻確定になっちゃいました……」



半泣きでジョディさんに言うと、きょとんとした顔をされる。



「え?でも降谷は今日は非番だって言ってたわよ?」



「え?」



非番?



休みってこと?



「ええ、確かにそう言ってたわ。今日ぐらいゆっくり休みなさい、ね?」



そう言って着替えの服を渡してくれる。



昨日そんなこと言ってなかったのに。



むくむくと怒りが沸いてくる。



もう!大事なことはちゃんと言いなさいよ!



「あ、シャワー浴びたらご飯食べましょ。お腹空いたでしょ?」



「はい、ジョディさん!」



ジョディさんの優しさに感動しつつ、シャワーを浴びに浴室へ移動する。



鏡でスーツを眺めると、皺になってよれてしまっていた。



「これはクリーニングかな」



脚の切り傷も沁みるだろうな〜。



少しげんなりしながら足元を見下ろすと、昨日降谷零が応急処置してくれたことを思い出す。



憎たらしい期間限定の上司とだけ思っていたのにな。



死に際の危機に颯爽と駆けつけたり、跪いたりした姿はまるで……。



「って、また変な事考えてるし!やめやめ!」



今はただ、目の前の捜査に集中しよう。



頭から考えを振り払って、浴場へと足を運んだ。

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小夜時雨(プロフ) - 二十八話と二十七話アップする順番間違えちゃいました……(__)その前から読んでいただければ楽しんでいただけるかと(^^) (2021年4月1日 0時) (レス) id: f0aebf3cd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小夜時雨 | 作成日時:2021年3月7日 11時

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