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十八話 ページ20

「あなた、まさかそれ……」



リモコンを見た瞬間、「死」を肌で感じた。



サアッと血の気が引き、冷汗がどっと出る。



「ああ!見ての通りだよ。こいつは俺の体内にあるプラスチック爆弾の起爆装置だ」



「まさか、あなた爆弾を飲み込んだの?」



男は運転しながらにやりと笑う。



それは肯定の意だった。



「これさえあれば、公安の捜査員数十人は道連れにできるぜ!」



「馬鹿なことはやめて!」



「ふっ、馬鹿なことだと?言ったじゃないか、これが俺の本望だって」



男は聞く耳を持たない。



銃の引き金を引こうとしても、私が妙な動きをした瞬間にスイッチが押されるはず。



それでいて男は後ろから追いかけてくる捜査員の車両と距離を縮めるためにスピードを落としている状況。



まずい。非常にまずい。



早く何とかして男からリモコンを取り上げないと……。



「はは、どうしたおじ気づいたか?いい気味だぜ!」



「くっ……」



高らかに笑う男に成す術が見つからず、悔しさで唇を噛む。



もはやこれまでなの……?



異国の地でFBIの仲間に会えずに死ぬの……?



絶望に打ちひしがれそうになる。



でも。



私は市民の命と安全を守るFBI捜査官。



無様にのこのこ生き残るぐらいなら体を張ってでも……!



死を覚悟したその時、視界の左端に見えた望み。



「死ねぇ!」



男がスイッチを押そうとしたその刹那。



咄嗟に椅子に掴まって目を瞑る。



その直後。



ドカン!!と大きな音と揺れを立てた。



その正体は……。



「止まれ!!」



降谷零のRX-7が真横から追突してきて車体が大きく傾く。



「うおっ!?」



その拍子に男の手から起爆装置が離れる。



今だ!



空中に舞った起爆装置を掴み、続けざまに男の首の横に手刀を入れて気絶させる。



大人しくなった男を見て一件落着、と言いたいところだけど。



目の前には反対車線のガードレール。



このままじゃ、追突……。



思ったその時。



「FBI!乗れ!!」



振り返ると、開け放っていた左のスライドドアすぐ近くで降谷零がRX-7の運転席の扉を開けてこちらに手を伸ばしていた。




本能的に身体が動く。




私は車体から車体へと飛び、運転席の降谷零の腕に飛び込んだ。



思わずぎゅっと目をつぶると。



「君に怪我をされては困るからな……」



力強い腕に抱きすくめられた次の瞬間、ワンボックスカーはガードレールに追突していた。

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小夜時雨(プロフ) - 二十八話と二十七話アップする順番間違えちゃいました……(__)その前から読んでいただければ楽しんでいただけるかと(^^) (2021年4月1日 0時) (レス) id: f0aebf3cd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小夜時雨 | 作成日時:2021年3月7日 11時

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