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十四話 ページ16

日本に来て2週間。ついにこの日が来た。



「今日はいよいよ密輸の現場をおさえる日です。皆さん気を抜かないようにして下さい」


降谷零の言葉に捜査員たちが一斉にはい!と返事するのが車内スピーカーから聞こえた。



それもそのはず、私は今降谷零の愛車・RX-7に乗っているのだから。


私たちはバーの一件で男たちに顔がバレてしまっているため、行動を共にすることになったのだ。



それにしても。



車窓からお台場の夜景を眺めると、遠くに見える七色に輝くレインボーブリッジや途中で見たお台場海浜公園周辺の施設は、どこかラスベガスの雰囲気を感じさせて懐かしさが蘇る。



「おいFBI。気を抜くな」


点呼が終わった降谷零に話しかけられて、はっと現実世界に取り戻される。


「わかってますって。私も今日の為にやってきたんですから」



今まで監視、追跡、諸々の捜査や射撃や体術などの技術の向上だけでなく筋トレなどで基礎体力も高めてきた。



今日がその正念場だ。


「それならいい。僕たちも持ち場につくぞ」



降谷零に従って車を降りると、海風が顔を撫でる。


どの国にいても海岸沿いは寒いなと腕をさすっていると。



ファサッと肩に何かが乗せられる。



「えっ?」


「これでも羽織っておくといい」



背後から肩に降谷零のスーツのジャケットが掛けられる。


その重みとふわっと漂ったいい匂いにドキッとする。



「僕たちは万が一の時の為に捜査員たちが逃したターゲットを追う役だ。それまで体を温めてもらわないとな」



まぁ彼らは優秀だから問題ないだろうと言う降谷零の声にも優しさを感じて段々と笑みが浮かんでくる。


「ふふ、ありがとうございます」



振り返って礼を言うと「ああ」とだけ返される。



ジャケットをぎゅっと握り、300メートル先の現場を物陰から眺める。



ターゲットは銃を持って船でやってくる5人と受け取る側の5人の計10名。



受け取る側の5人の内にこの前バーで会った男2人がいるそうだ。


あのバーで仕掛けた盗聴器から残りの3名も特定され、船でやってくる側も5人だと判明した。



リスクを冒して仕掛けた盗聴器は無駄にはならなかったのだ。


おまけにその盗聴器は時間が経てば空気中に溶けてなくなるという、とある界隈では有名な発明家の博士が作ったものだと聞かされた。


この国も侮れないな。



その時遠くにヘッドライトの明かりが見えた。



それは作戦の始まりの合図。



私は気を引き締めた。

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小夜時雨(プロフ) - 二十八話と二十七話アップする順番間違えちゃいました……(__)その前から読んでいただければ楽しんでいただけるかと(^^) (2021年4月1日 0時) (レス) id: f0aebf3cd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小夜時雨 | 作成日時:2021年3月7日 11時

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