警察庁の降谷さんは今日も当たりが強い！【降谷零】 (ページ15)

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十三話ページ15

「風見さんが降谷さんのことを尊敬している理由がわかりましたよ」

術科センターからの帰り道。

「まだ調査がある」と先に出ていった降谷零に残された私は風見さんのスカイラインに乗っている。

「そうでしょう。本当に漫画のチートキャラみたいですよね」

「私もいいとこ行ったと思ったんだけどな～」

射撃では、私も全弾真ん中の円の中に打てた。

しかし、降谷零はそれを上回るほどの正確さでど真ん中を連発していた。

「FBIの射撃水準はこちらよりも高いな」と言われたけど、本人の能力は私のより遥かに高いのだから余計に悔しい。

「おまけに体術は……」

風見さんの柔道の稽古を見学させてもらったが、何といっても軽々しい身のこなしと言ったら。

お陰で風見さんが何回も宙に浮いていた。

「はは、自分の情けない姿を見せてしまってお恥ずかしいですが、やはりうちが誇るエースですからね」

公安部の捜査員が若い上司に従う理由が分かった気がする。

彼について行けば安心という信頼。

それを実力で証明している姿は、悔しいけど尊敬に値する。

「あーでもこれで嫌味言って来なければな～」

会って一週間も経ってないというのに、これまで言われてきた嫌味の数々。

あ、思い出すだけでムカついてきた。

「まぁ自分から見ても降谷さんは赤井秀一とのことがあってからFBIの方たちを敵視してるようなところがあるなと思います」

「ですよね～。他の警視庁公安部の女性捜査官には一言も言わないのにな～」

「それでも」

風見さんが一呼吸おいて続ける。

「自分から見た感じでは、降谷さんはAさんには期待しているんじゃないですかね。お互いに自分の国を守る者同士として」

「え……」

どういうこと？

「実は降谷さん、射撃とか柔術の腕を見せたのは自分以外にAさんぐらいしかいないんですよ」

風見さんがちらっと目配せする。

「他の捜査員ですら忙しくて稽古の相手をしてくれる暇もないのに、そんな中ましてや敵視している組織の捜査員の為になるようなこと普通はしないでしょうね」

まさか。あの嫌味ったらしい降谷零が？

そう思うと何故か口元が緩んでしまう。

「ふふ、本当に素直じゃないですね」

「ええ、そうでしょう。大事なことは言わない上司ですから」

風見さんと二人で笑う。

でもその翌日に降谷零に会って思わずにやけてしまい、「余裕だな」と言われて仕事を増やされたのは別の話。